KIGAWA Tsubasa Semi

《ツイッターから》地味なカメラ、木川の645の本気レストア完了。何故本気モードになったかと言うと、蛇腹切れ錆だらけボロボロを見つけた骨董屋で、「このままでは飾りにもならないだろ、かわいそうだから俺が直してやる、タダでも高いけど1000円だけ置いてく」と啖呵を切ってしまったから(笑)



 このカメラはいつもの日曜だけ開く山の中の骨董屋にずいぶん前から転がっていた。クラシックカメラブームが去り、在庫をどんどん処分していたようだが、あまりのボロボロに買い手がつかないまま店晒しされていたのた。

 よくある「ボロボロのスプリングカメラ」の見本のようなもの。ご覧のとおり裏は完全に錆びて皮はかろうじて断片が残る。



 蛇腹は切れて前板は変な方を向き、もちろんレンズは曇りシャッターは作動しない。かろうじて前周りの皮は残っていたから直す気になった。シャッターやレンズは何とかなるだろうと踏んだ。



 予想通りシャッターは単なる油切れ、レンズは汚れだけで大きな傷は無い。カビがなかったのは蛇腹が切れたので風通しが良かったのだろう。



 シャッター、レンズ周りは使える程度に直った。残る作業は・・・蛇腹作りと錆落し!



 一応、軍艦部も開いた。目測だから特に問題なし。



 各部を採寸して蛇腹製作プログラムで印刷、折ってみて修整を三度繰り返し、決定稿が出来たので接着して、@hoshigarasuさんから頂いた皮を貼り付ける。





 上のものは失敗作。前が大きすぎるのと長さ不足。下は決定稿の折途中









《試写》

 試写はいつも通りのプレストにて。本体に光漏れがある(対策済み)







☆試写は蛇腹のトラブル(湿り気で張り付き、変形してしまった)があり、画面の一部が蹴られた、光漏れもある。しかし、レンズの素性はわかる。雨がぱらつくコントラストも明るさも少ない日だったが、前玉回転の三枚玉が意外にコントラストがあり、ひどいグルグルにならない。近接でもそこそこ出る。もっと暴れることを予想したが、良い方に裏切られた。キコーセミと同等品と思うが、意外なほど真面目なレンズだ。パールに似た(おそらく似せた)軍艦部のデザインは弱小メーカーの悲しさかなと思う。

 今回のレストアで一番の収穫は蛇腹作りだ。いろいろやっているうちにコツらしきものが見えてきた。645は狭くて大変なのだが、一応自信らしきものが生じた。皮さえ手当てできれば、難しい作業という気分はもう無い。ただし、面倒であるのは変わらないが。


July 2012

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