Rolleiflex Automat

 ツイッターつながりの祭さんが手に入れたジャンク、状態を聞いていたら  白内障がひどく、その他もいろいろあって業者に出せるレベルではなさそうだ。二眼レフは守備範囲なので、修復を 引き受けた。



 ローライフレックス・オートマット(アウトマート)はスタンダードに続いて戦前に発表され、多くの二眼レフが参考とする典型と なった。作られた期間が長く、細かい機能が追加された。預かったものはノンコートテッサーでシンクロ接点も無いから 戦前のものだろう。

《ツイッターの呟きに従っての経過》()は後日の脚注


ローライほか到着。先ずは依頼品のローライから片付けよう。いけそうな気がする。
気がするだけで確認していないが・笑(略称をTと間違った。途中で訂正)

ローライTの現況 前玉レンズ内にカビ、絞り固着、シッャターは少し不正確、ノ
ブ外れでフォーカス不能、カウンター動作不明、ファインダー暗い・・・なんだ、
この前のオートコードに比べればはるかにましだ、少なくともシャッターが動くし。



ただいまフォーカシング回りが終わるところです。勾玉式繰り出しですから、お約
束のグリス硬化ですね。 RT @sukimonoya: @kans1948 全方位修理ではありますが
kan さんなら気分転換的作業に終始しそうですね。作業の円滑なる終了をお祈りし
ます (^^)



左側面完了。ちゃんとオートマットして 12枚写せるから良いかな。さて、しばらく
中断して、夜中にはレンズに一風呂浴びらせようか。



テッサーの前玉分解できた。後は超音波風呂に入れるだけ。これで不具合は全て直る。
ついでだから後ろ玉も見よう。

前玉清掃完了。全く問題ないレベルになった。傷が少なく良い感じだ。
(注・カビ玉の記録を忘れていたが、カビなど珍しくないから使用後だけで良いだろう。)
技術的山は越えた感があるが、調整的に面倒が残っている。おそらく内部部品が外れた
ファインダーとか反射鏡とか。でも明日には上がるだろう。






(注・呟かなかったことだが、不思議なネジ二個が前板に取り付けられていて、全く機能しない
状態でぶらぶらになっていた。また、ダルマカバーの横に穴が開いていて、シャッターレバーに
相当する部品が外に出ていた。シャッターに連動した接点を作ってシンクロさせるための自作部品
が追加されていたが、壊れたので外したものと推定。工作レベルが低く使えないし不細工なので
外した。)






さて、シャッターと絞り清掃。(赤印は他のカメラ用のシャッターレバー、これの動きをシンクロ接点にしたらしい。このままだと 第二のシャッターレバーでもある)

予想以上にファインダーがひどい。ピントグラスが裏返し、怪しいフレネルがこれ
も裏返し、それらを正規の止め具を使わず接着剤で固めてある。金具が無いからフ
タのストッパーにはバネが無い。パララックスマーク用の部品の位置が無理やり移
動させられていて役に立たない。内部から怪しいネジが・・



このカメラは比較的近年に非常にいい加減な仕事をする素人が徹底的にいじってい
る。それも改造というレベルではなく、破壊に等しい。完全に清掃してまともな形
に作り直すしかない。馬鹿げた話だ。腹が立ってきた・・・



ローライフレックスT、何とかファインダーをでっち上げた。ファインダーの機能
回復。明日にミラーを交換すればしっかり見えるだろう。レンズやシャッターは生
き返っているから、間違いなく使えるようになる。それにしても不可解な改造ばか
り、前の奴は何を考えていたんだろう。



Rolleiflex Automat Tessar 1:3.5 f-7.5cm (Matsuri Model) 基本整備完了、とい
うか、基本妥協完了。一先ずカメラに戻った。ファインダーを完全調整できれば機
能回復宣言できる



ここからは、「テイクレンズピント出し」「調整ノブ固定」「テイク側のずれをフ
ァインダー基部のスペーサーで微調整」となる。本来はビューレンズ微調整するべ
きところ、ロックネジ紛失+レンズバレル固着なので無理せずファインダー側で何
とかする。

《ツイッター終わり》











 ということで、機能を回復した。レンズはそこそこ、シャッターなどは正常、ピント位置はその後もう一度調べ、 ビューレンズが後退し過ぎだが、レンズ位置が動かせないのでファインダーを限界ぎりぎりまで持ち上げた。これで ビューで合わせると少し前ピンだが、実用になる程度と判断して修理完了とした。

《試写》

 アクロスにて試写。ピントは近接ではピントグラス、無限遠は指標を主に使った。







 一枚目はピント位置確認、二枚目は絞り開放でどうなるか、三枚目は全体としての評価と言うカットだが、それぞれ問題なく こなしている。白内障は改善したと思う。モアレがあるので再スキャン予定で掲載していないが、逆光でも特段の問題は無い。

☆テッサーの渋さというか、ローキーで静かな描写だ。もちろん現代の感覚ではノンコートのこのレンズに「鷹の眼」という 鋭さまでは感じないが、十分の鮮鋭度がある。きちんと動作するフルオートマットなど軽快で、後のタイプより軽くて使いやすい。 唯一、シンクロ接点を持たないのが時代を感じさせるが、アベイラブルライトで十分使えるカメラだ。二眼レフの本家の、この 時代(1930-40年代)では超特級品と言えよう。

☆祭さん、久しぶりに本気レストアをしました。楽しかったです。良い教材を提供いただきありがとうございました。


February 2013

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