MAMIYAFLEX C3
マミヤフレックスの初期の高級タイプとしてC3は生まれた。レンズ交換やストレートに送るフイルム、一枚撮りに対応
したバックプレートの交換、ファインダー部の交換機能などは初代Cと同等だが、クランク巻上げと現代フイルムでもコマ
ずれが起こらない進化したカウンターなど改良点が見られる。といってもまだセルコッキングではなく、後のC2シリーズ
と大差は無い。
さて、今回はツイッターつながりのkyouさんが「カウンターが不調で
途中で止まってしまい、12枚写せない」と悩んでいたので、二眼レフなら何とかなるだろうと引き受けたもの。
症状を再現させないと判断しにくい。上がカウンターの窓で、下が120ロールフイルムと今はほぼ幻のカットフイルム用の
切り替え。つまりロールフイルムのカウンターを進ませ、二重写しを防止するポジションと、意図的二重写しするための
ポジション兼、カットフイルム一枚写しを切り替えるためのセレクター。
これは元祖Cのカウンター。マミヤ6などと同等のものを組み込んである。C3では概略的に同等のものを内部に組んでいる。
ここが先ず怪しい。中途半端な位置だと時々引っかかるようだ。何度か動かして様子を見た。
カウンターは初期型と違って内蔵されている。ここを開けるために皮をはがしたが、ネジが一本緩まない。また、
クランクの根元のピンが抜けない。自分のものなら覚悟を決め強引な作業をするが、預かり物ではそういうわけには行かない。
感触から油切れと判断し、隙間各所から内部にスプレーオイルを吹き込んだ。
(この部分には微妙な動作をするものはなく、ギア類がスムーズに動けば事足りるので強引な技が使える。
一般的には決して推奨されない)
裏紙のフイルム位置にフイルム長さにもう一枚張ったダミーを用意し、スタート位置にしてウラブタを締めた。
最初より巻上げの感触がスムーズになり、問題なく12カットまで進んだ。ここでウラブタを空けるときちんと最後の
カット位置まで進んでいたので問題なしと判断した。(裏紙の切れ目は127フイルム切り出しに使ったものだから)
このカメラはにはごく小さいが赤窓がついている。カウンター切り替えをマルチにして赤窓で使えばカウンター故障の
緊急時にも使えるが、ノブと違ってレバーでは細かい操作は面倒だから実用的とは言い難い。まああるだけましという
デバイス、セルモーターが信用できなかった時代のクランクハンドルのようなものだ。
ついでにシャッターを開いて清掃と給油。見慣れたセイコーのコンパー折衷型で、マミヤプレスなどでも採用されている
信頼性が高い0番。
その他、各部清掃と御化粧直しをした。外蛇腹は崩壊寸前だったのでウレタンで薄めに塗装して強化した。マミヤC
シリーズは大きい外蛇腹とは別に、テイク側は内部にもう一段蛇腹がある。このおかげで耐久力が非常に高い。外観が
ぼろぼろになっても光漏れは先ずない。プロのための作りと言えるだろう。
外観の軽い清掃では貼り皮がきれいにならない。本皮ではなく型押しの合成皮革なのでウラブタとファイダーは超音波
洗浄してみたが、劣化していてまだすっきりしないので、目立たない程度にウレタンを塗って余分は拭いた。
独特のレンズ交換機能部。たった一本の針金できちんと固定される。脱着は極めて簡単だ。
ファインダーはポロミラーなどに交換可能で、必要ならスクリーンも交換できる。
《試写》
手持ちの関係でTX400にて実施した。
レンズ交換できるので試写は簡単に済ませたがなかなか良く出ている。
☆この後、C3はセルフコッキングやボディー側シャッターボタンの追加、220フイルムへの対応などの進化をしながら
1990年代まで作られ続けた。確実かつ簡便でいて高い画質と汎用性が支持された結果だろう。フイルムの平面性のために
ストレートに送る。そのために大きく重くなったボディーは手プレに強い。スナップではほとんど意識されない撮影姿勢
など、現在でも第一線で使えるカメラである。
☆楽しめました。御愛用を>kyouさん
April 2014