FUJIMOTO Semi Prince
掲示板で「レストアしたくてもやりたいカメラが手元にない」と嘆いたら、ゲルベさんから貸せるので遊んで見よという
御提案があり、ありがたくお貸し頂いた。
昭和も10年前後のカメラで、既に70年物だ。このカメラについてはこちら
の機種別掲示板にあるものなので参照されたい。
前玉を外して念のためシャッター羽根の清掃・・・
このカメラのシャッター NEUMANN & HEILEMANN は後から開く。中玉を外すのは前からだが固いので無理せず後に廻る。
後からだと一通り清掃できる
年式から言うと蛇腹の程度が良い。しかし角がちょっと劣化しだしていたのでウレタン塗料で強化した。その後の張り付き
防止はアーマオールを薄くつけた。また、張皮など少し痛んでいたので、こちらもちぐはぐにならないよう反射しない
程度に薄くタッチアップした。
このNEUMANN & HEILEMANNのシャッターがどの程度のものか、シャッターテスターで計測した見た
結論から言うと、バリオタイプの二枚羽根エバーセットだから想定の範囲内だった。低速はさほど有効とは思えないスロー
部なのでこんなもの、高速は完全整備してバネを強化しても1/100くらいが普通だ。1/150秒が出ているエバセットは経験
していない。(コパルなどの現代的プレスシャッターは除く)
(薀蓄)この手のエバセット共通の心得に「ハーフコックで戻すな」がある。いわゆる「半押し」状態までシャッターボタンを
押したら、シャッターを切るしかない。決して戻してはいけない。ある程度まで押すと押し切らずに戻すとシャッターが
開いてしまう。どうしても戻したければ残った手でレンズを押さえて光りを遮ろう
645専用の枚数表示が無い時代のものなので、69の数字を二つの窓に交互に出すタイプ。光漏れはなかった
ドイツで作られ、日本で組み立てられたというレンズ。なかなかきれいな目だ。F=4.5は高級タイプとのこと。ナンバーは
ドイツ式でNr.表示
(試写)
試写は手持ちの関係からTX400にて実施
オーナーのお話通りシャッターの押しストロークが不安定で、ぎりぎりまで押し込んで静かに切るのがなかなか
難しい。何枚か明らかに手ぶれしたが、きちんと来たものは遠景から近景まできちんとしている。この時代の国産に
多い周辺落ちはなく、ノンコートながらフレアーが少ない。三脚に据えてレリーズで写せば、より良い結果が期待
できる。
☆直感的には、戦後の国産フォールディングカメラとほぼ同等と感じた。過去にテストしたラジオナー同様で、
曖昧な感じが少なくきちんと描写する。これに使いやすいシャッターがついていればよりよくなっただろうと感じた。
ファインダーはパララックス云々以前に基本の正確さが乏しく、縦に構えると見切りがわかりにくいが、このカメラ
だけの欠点ではなく、簡易型ガリレオ式共通で、撮影ではぎりぎりは狙えないことになる。トリミング前提の時代と
考えて、被写体に余裕を持って写すべきだろう。
巻上げなど基本はまさにフォールディングカメラの標準仕様で、可もなく不可もない。大きさや重さはまさにセミ判の
標準的なもの。材質も標準的
☆ありがとうございます。楽しめました>ゲルベさん
April 2014