RICOMATIC 225
リコマチック225は名機リコーフレックスの最後の、そして最高機種である。
詳しい来歴は今もリコーのサイトに
きちんと表記されている。
巻上げが不安定と言うことでサイドを開いてみた。
標準的なローライコード式のカウンターなどを備える。リコーキン(135フイルム利用装置)のために巻戻しノブがあるのは
ちょっと珍しい。
観察するとカウンター円板の戻りが悪い。本来はもう少し左回りに進んでいるはずだ。
この部分は常に左回りの戻りテンションが懸けられ、フイルムが入っていると連動するローラーから右向きに駆動される。
フイルムが終わるとギアが欠けている(2のところ)ので空回りするが、フタが開けられるとギアの押し付けが解除され、円板がゼロに
戻る。この時に油切れなどで戻りが悪いと正規の位置でスタートしなくなる。この部分は厚みが少ないところに設置される
事が多く、薄くごく軽く動くようになっていて戻しバネが弱い。二眼レフのカウンターで最も故障が起こる部分だ。分解清掃
と給油できちんと動くようになった。
カウンター円板を外すと自動巻き止め用の主要部が見える。先端が長い方のギザ円板に引っかかり、巻き上げてゆくと上下の
ギザ円板のキリカキが一致してレバー部が入り込み、他端で巻上げロックがかかる。この間にシャッターを別のリンクが
チャージしている。カウンターが枚数のところで止まらなければ、このキリカキに飛び込む部分のバネが効いていない事が
考えられる。
赤いところが二重撮影防止装置のリンク。シャッターをレリーズするとその動きを伝えて、巻上げロックを解除する。
シャッターを一度切れば巻き上げない限りチャージされないので、二重露出は起こらない。
ここはファインダーフードとも連携していて、フードを開かないとレリーズできない。したがって巻き上げてあっても
暴発する恐れは少ない。ただし、ノーファインダー撮影ではフードを必ず開けねばならないので不便。
全体に動きが渋いので前板周りのダルマを外す。
前板は2段構造になっている。このカメラは多くの二眼レフに採用されている勾玉カムでは無く、正確で堅牢さが持ち味の
ヘリコイドで前板を動かしている。向かって左上のシャフトはヘリコイドの回転止め。このおかげでフォーカスレバーの
遊びが少なく、精密な調整ができる。
ヘリコイドに乗る部分を外すとセルフコッキング(1)やレリーズ(2)とレリーズロック(3)の連動部が出てくる。その下に
ヘリコイドが隠れている。
ネジ4本を外すとヘリコイドが整備できる。ちょっと固いのでグリスアップした。
ちょっとファインダーが暗いので分解してみた。ミラーが曇っているので新品ミラーを切り出した。
3群4枚構成のリケノン80o3.5、テッサータイプ。(ダイヤシリーズは3枚のトリプレット)
組み込まれたセレン露出計の低輝度モード。開いてもネームあり
露出はEV値を読んで合わせる。輝度切り替えはノブを引き出して行う。平均的なホットシューも装備している。
35oで使う時はポッチを切り替え、巻き上げノブの根元でカウントするようだが、135アダプターが無いので詳細不明。
指標は絞りとシャッターが上下で、間にEVが表示されている。シャッターレバーを動かすと絞りが連動してEVを
保つ。絞りを動かしてもシャッターはそのままなので使いにくくは無い。
立派なバッフルが入っている。巻上げは上から下で、フイルムの平面性を得やすい。
《試写》
プレストにて実施。オーナーの提案でリコーダイア(3群3枚トリプレット)と同列比較も実施した。
すっきりと周辺まで立派な画像でコントラストと先鋭度は申し分ない。逆光にも強く、まさに中判という画像が得られた。
至近距離でも周辺まできちんと再現する。中判の余裕を感じさせる余裕の描写だ。
ーーーーーーーーーー《225 vs Dia》先が225、後がダイアーーーーーーーーーーー
☆1.2枚目は並べて同時レリーズ。3枚目は交互に撮影した。シャッターが異なるので速度は異なるが絞りは一致している。
225は文句なしだが、ダイアの結果は225に遜色無しだ。わずかに周辺落ちを感じるが、トリプレットとしては超一級品と
言えよう。
JFCの合言葉「リコーに外れなし」を痛感した。セルフコッキングでセミオートマットに露出計を搭載し、平面性の良い
上から下に巻き取る構造で、135oフイルムを使うこともできる。ローライフレックス3.5Fに劣らない機能だが、結果も
劣らない。重量や使い易さはむしろ勝る。標準画角だけで良いなら66カメラはこれ一台で不満は無い。傑作だ。
☆ありがとうございます。まさに"リコーに外れなし"ですね>noBuさん
May 2014