KODAK RETINA 1A

 ドイツのナーゲルが開発し、後にコダック・レチナとなったこのカメラは、ライカやコンタックスに比べれば 遥かに安価で、それでいて良いレンズと操作性の高さで戦後まで支持され、作られ続けた。



 レチナ・クセナー、シュナイダーの傑作の一つだ。このレンズの独特で深いトーンはこのカメラ最大の魅力だと 思う。(レチナにはその他いろいろなレンズが採用されている)

 今回のものは1951年に作られ始めたTaで、ネックストラップのアイレットがあるところから、#015と 推定した。これは爺さん様のもので、カウンター不良ということでこちらに来た。50oで目測がTa、距離計 連動がUaというシリーズで、細かく多くの改良型が存在する。これも 珈琲無礼講の爺さん様よりの依頼品。



確かに巻上げはするがカウンターが進まない。一先ず上から分解。



 フイルム巻上げとシッャターセットリンク。特に異常は見られない。この状態で巻上げやシャッターセットは 正常に行われている。少し重いので給油した。



 分解した時にゴミのようなアルミらしきかけらが落ちてきた。もはや部品とはいえないレベル。



 カウンターは一般に巻上げストロークの最後で一コマ送るのが一般的だが、どう見ても送る部分が無い。 パーツリストやマニュアルがないとこれはなんともできない。残念だがカウンターの復活は無理と判断。その他の リンクやレンズ、シャッター周りの整備と蛇腹や外観の手入れを行って終了とした。













《試写》

 アクロスとDNP200にてテスト撮影。













レチナ・クセナーは描写がいろいろ変化する。概ね順光では丹精で正確な描写、逆光では陰影が強く、ハレーション などが少ない。現代的とも言える明確な描写になる。低照度で絞りを開けるとふわっとボケる。

☆小柄で畳めばポケットに入る。質感が良く良く写るから散歩カメラに向いている。ファインダーの接眼部が小さく 見易くない、50o2.8レンズの目測は近接や暗い場合にはつらい。Uaシリーズ同様の距離計がほしくなる。 レンズ周りの操作性が良いとは言えない、など細かい短所はあるが、総合的に魅力がある。レチナファンが 多いのはレンズと共にコンパクトな外観の良さも寄与しているのだろう。


 レチナ・クセナー、独特の魅力がありますね>爺さん様


October 2014


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