MAMIYA 7

   マミヤ7は使い易さ、信頼性と端正な画質という三拍子揃った名機として知られる。それゆえ、メインカメラとして傑作を生んだ カメラマンが多く存在する。同じマミヤ67でも、RBやRZのような重く大きくいろいろなシステムをそろえるタイプとは根本的に 設計思想が異なり、機動性、速写性を重視したカメラである。ぴったりジャンルが重なるライバルはほとんどないが、似た用途という ことだとフジカの67-69、ブロニカの距離計機、古いところでマキナ辺りだろうか。いずれも名機である。



 豪華な二台セットが届いた。写真家、暖さんからお借りしたのだ。暖さんは大判から小型カメラまで精通し、プロの写真展で大賞 を受賞した素晴しい寫眞家である。彼は海外取材にこのカメラを持ち込み、素晴しい作品を生み出している。

 今般、その片鱗を見せていただいた。幾多の名作をものにしてきたカメラだが非常にきれいだ。大事に使われてきた事が 偲ばれる。



 美味しい甘納豆が同梱されていて、ありがたく味わった。カメラの入っていた箱にはりり(♀)が早速這いりこんだ。 居心地が良いらしい。



 操作は極めてわかりやすい。中判を使っている人ならマニュアルはほとんど不要だろう。操作ポイントが限られるし、このカメラ 独特の操作など無い。あえて言うなら、マニュアルでは露出計の適正表示がシャッター速度の過不足を設定値と推奨値で示すもので、 最初はちょっと戸惑うかもしれないが、すぐに慣れる。

 基本的には手動巻上げのマニュアルカメラだが、シャッターは電子制御で露出にはAEが組み込まれている。絞り優先で マニュアルの時は露出計として働く。この露出計はファインダー内に組み込まれていて、測光角度が一定なので、広角50oでは スポット、75oでは中央部重点、望遠150oでは平均測光になる。簡易的なスポットメーターと解釈して測光するようにすれば、 応答速度が早くきちんとした値が出る。特徴を知らずにAEロックなどを使わないと露出を外すことになるが、このカメラを 使う人なら体内露出計があるだろうから先ず心配は無い。



 レンズシャッター式なので、底部にはレンズ交換のための遮光幕の設定部と解除ボタンと電池ボックスがある。

 機械式だがシャッターは電子制御、従って電池が必要だ。4LR44か4SR44を使うのが中判で最後まで残ったペンタックスや マミヤの共通点。このカメラも同様だが、最近は店頭であまり見ない電池になってしまった。しかも価格が極端にばらついて いる。短期的には中華の安い電池で良いだろうが、寒いところなど必ずスペアを持っていく必要がある。電池の中身はSR44,LR44 を4個直列にしたものだから使わなくても容量が落ち、長期使用には耐えない。多少はばらつきがあっても、完全機械式だと電池 不要だから安心だ。この点がこのカメラを使うのに唯一不安な点だが、よほど過酷な条件(極低温など)でない限り 正確な秒時と露出が得られるから欠点とはいえない。



 暖さんの目印が付いている背面



 120-220切り替えなどごく標準的で使いやすい



 標準としてはちょっと広角の80o



 RB用と比べれば半分しかないと感じる150o



 標準域の広角で、使い勝手の良い65o



 レンズ交換は遮光幕の手間以外はバヨネットで簡単。ファインダーのフレームは自動的に切り替わる

《試写》

 フォーマットが大きいので手ぶれマージンが大きいプレストにて。150と65はEI800増感

80o







150o







65o(AE露出)







 画質について全く不満なし。現代レンズらしく周辺まできちんと出て落ちない。広角のAE露出では空の明るさに引きずられて アンダー気味になる。何を主体にするか、スポットメーター的に調べて選んでAEロックで使わないと希望通りにはならない。

☆エンプラ製にしてはずっしりと存在感があるが、RBほど重くなく、135の一眼レフを使うのと体感的には変わらない。 レンズバレルが細く小さい事、フイルムバック交換をしないことなどでコンパクトさを稼いでいる。シャッターロック以外は 操作感が良く、撮影リズムを崩されない。ホールドし易くシャッターが軽いので手ブレに強い。風景写真でアンダー連発という 報告をされている方があるが、スポットメーター的に扱えばそのような事は無い。使う側のスキルが必須だ。

 非常に明るく見やすいファインダーだが、ストレート画像に対して距離計窓からの光が強く、コントラストが低い被写体では 二重像が見えにくい。露出計がちょっと過敏で、表示が細かく動くのはあまりありがたくない。マニュアル時にはインジケーション だけドットなどで示すなど一工夫欲しい。


☆総合的に本気で作品作りするカメラにふさわしい。画質から使い勝手まで良くできていて、中判カメラを長く作ってきたマミヤの 一つの頂点である。良いカメラだ。

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《暖さんのお話》

メインカメラがシノゴだったので・・・2台のマミヤ7はサブカメラでした。

シルクロードの子ども達を撮った作品もマミヤ7を使ったものが入っています。

お疲れのときも、光が弱いときも飛び跳ねる子ども達を撮るときも使いやすくて、
失敗のない寫眞機でした。

大全紙ぐらいのプリントでしたらシノゴと6x7、なんとか気づかれずに展示できますね。

裏蓋に貼り付けてあるガムテープは撮り終わったフィルムを巻き止めておく紙のシール
が破れたときの非常用です。乾燥した砂漠地帯の撮影であのシールがよく破れました。
とっさの場合に・・・別のテープを用意しておかないと大変なことになります

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名機を楽しめました。ありがとうございます>暖さん


March 2015


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