RICOH AUTOHALF EF



 1962年に発表されたのが初代オートハーフ、大ヒットして次々に後継モデルが出て、最後のEF-2は1979年に 新発売だったから、都合17年間作られたことになるオートハーフシリーズ。

 固定焦点でピント調節を回避、セレン式で電池なしのEEを実現、スプリングモーターで巻上げとシャッター セットを自動化・・・一つ一つはいろいろなカメラが先駆だが、見事なパッケージングで実用に必要十分な 便利さと結果を実現した。

 売れに売れたオートハーフだが、1970年代になるとネガカラーが全盛になり、35oフルサイズで画質が上回る セミオートカメラ(コニカC35、キャノネットなど)にファミリーカメラの主役の地位を明け渡した。最終型より 一つ前のEFは、外付けフラッシュを無理に組み込んでそれらに対抗したハーフ判カメラある。

 ハーフフォーマットは「カレンダーカメラ」(カット数が多いので、まだ写せると忘れられたり、コスト的問題 からたまに現像すると一年分のさまざまな場面が写っている)と揶揄された。また、ハーフフォーマットが当時の ネガカラーでは画質的に苦しかったことも追い討ちとなり、ハーフカメラ全体が消えていった。

 初期型から最終型までレンズや露出機構等に変更はない。外観のバリエーションとフラッシュの追加程度で 20年近く作られ続けた。最初から完成していたとも言えよう。間違いなく傑作カメラの一つだ。



 このカメラの画質を支えたのがこの富岡の25o2.8。リコー・キャディー(画質や画角でオリンパス・ペンワイドに 匹敵するハーフカメラ)に採用され、その画質から固定焦点でも立派に使えた名レンズ。



 外付けフラッシュを後付した外観



 横長だが、元が小さいので撮影時には気にならない



 下は御得意のスプリングモーターのノブと巻き戻しのみ





 フラッシュはスイッチと距離による絞り設定を一つのダイアルで決める。同軸に感度設定があり、 フラッシュマチックなどは組み込まれていない

《試写》

 富士の業務用ネガカラー400にて実施してみた











 オートハーフの作例はあちこちで発表されているので、フラッシュ併用のカットを二枚入れてみた。最初のものは デーライトシンクロだがまあ何とか写っていた。ホワイトボードは1.5メートル程度なので固定焦点には ちょっとつらいか。スクーターの3メートル前後の描写がこのレンズのベストポイントだろう。大きい景色では さすがに無限遠は苦しい。(二枚目の左下は私の現像ミス)

☆オートハーフ、今のフイルムだと家庭的用途なら立派に使える。36枚撮りで実質75カットは写せるからプリントが 安ければ今も実用品と言えるだろう。セレン露出計は意外に使える。また、フラッシュはデーライトシンクロが 簡単にできるから人物撮影では重宝するだろう(私はアベイラブルライト派なので基本的にフラッシュは使わない)

 使いこなしで一番注意が必要なのは、シャッターが1/125秒(フラッシュでは1/30秒)なので、手ぶれが大きな マイナスになる。しっかり構えて静かに切るのが大事だ。特に横位置は注意したい。ベスト距離は3メートル 前後なので、人物は2ー5メートル程度が望ましい。セレン式露出計は空の明るさに引きずられやすいので、逆光では 地面に向けてシャッター半押し、AEロックで露出を開け気味にすることなど。まあ難しい御作法なしで気の向くまま 写すのがこのカメラらしいかもしれない。しっかりした三脚とレリーズで写してみれば、このレンズの凄さが わかるだろう。

 「リコーに外れなし」、Range Finder 読者の合言葉


May 2015


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