Contessa Nettel(Zeiss) ARGUS



 1922年にコンテッサ・ネッテルから発表され、ツアイスに統合された後も作られたモノキュラー型カメラ、アルグス。 奇抜なカメラはいろいろあるが、玩具ではなくちゃんと使える代表格か。

 Sコレクション(先日、SBSテレビの取材を受けて、知る人だけでなく知らなかった人にも知られたS氏)の珍品 ケースに収まっていたので、テストさせていただいた。



 フイルム側から見ると立派な絞りとシャッターがわかる。絞りは6枚で全開はせず、実質的に開放は5.6程度。



 ダミーレンズに見える部分が絞りリングだったりする。指標に色指しして少しわかるようになった。



 ここがファインダー接眼部。プリズムで90度の方向を見る。



 カバーを外すとまさに127カメラそのもの。





 リンクだらけ。撮影シークェンスは以下の通り

@シャッター半押しで隠し窓開くAレリーズでレバーがギロチンシャッターの開閉レバーを叩くB窓が閉じる

 調速はリンクの動きでレバーを叩いて出しているだけだから、T.B.25.50.1/100秒という構成。レンズはイエナ・ テッサーの5.5cmF4.5で、60が多いセミ判(645)127としてはちょっと広角。羽根類はきれいなので、軽い給油と 清掃をした。



当初は名刺判の乾板で写した。645としては極めてコンパクトだ。







 距離調節ノブ(小)とシャッター速度ダイアル



 ダミーレンズ風は絞り調節ダイアル。6面図的に写してもわかりにくい形だ





 テスト撮影は127ロールホルダーで行った。乾板用シースに120から切り出す方法もあるが、1枚しかないのでとても 面倒。ただし、この127ホルダーはオーナーが半田付けなど大修理したもので、扱いが面倒な構造だ。

《試写》

 プレストの在庫が払底しそうなので温存したいので一本目はエフケR100で写したのだが、どうも薄ネガで、まあ最低限は わかるが、もう一本かとテーブルに置いた。席に戻ったら無い。りり(♀)が ドリブルでどこかにやってしまったようだ。いつかは出てくるがもともと期待できない状態なので、プレストを 127に切り出して再挑戦した。







 127のスキャンは完全でないので全体にもっとピントが出る。一枚目は注意していたが手ブレしたようだ。三枚目は ヒキブタ部分から光漏れ(補修した)があった。

☆スパイカメラと言うほど小さくは無いが、写される人は全く気がつかない。金持の遊び用という感じのカメラだが、 中身は一機種として設定できる完成度がある。その他のセミ版カメラに全く引けをとらない。使いにくさは別として、 今でも十分遊べるカメラだ。ツアイス統合後にも作られ続けたのはこの性能からか。

 90度アングルファインダーはわかりにくいので、画角が広い5.5cmレンズは被写体を捉え易い。縦位置では二眼レフ式 に構えると使いやすい。

 ただし、シャッターストロークが長く、手ぶれしやすい。せめて1/200秒が欲しい。また、ファインダーで水平をとる のは極めて難しい。使いこなしはマニュアルカメラが良くわかっているベテラン向きだろう。もちろん飾っても話題を 取れる面白さがあるが、いざとなったらそれなりに使える力があるのが面白い。


 見かけと違って使えますね、面白いです>Sさん


June 2015


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