Plaubel MAKINA 67
プラウベル・マキナ67、カメラのドイ・土井氏の構想で実現したニッコール付フォールディングカメラ。コンパクトなボディー
に現代的な連動機構を持つ蛇腹を取り入れ、今も人気が高い。
これはSコレクションのもの。先日訪れた時に話が出た。そう言えばこれだけ有名なのに縁が無かった。触るのを避けている
ライカ・ハッセルではないが、円が無いから縁が無かった。S氏は二台所有していて、これはレンズに傷があるので使って
いないとのこと。補修ついでにインプレを書きたいのでお借りした。
前玉はあっさり分解できる。二群構成の中まで開けるので、薄い油膜や初期のカビなどしっかり清掃できた。
問題の傷は矢印のところ。大きくはないがいわゆる突っつき傷で深いから乱反射の元になる。これには610式墨汁塗布が
有効だ。乱反射する所を光が通らなくなるから完全に防げる。この処理で光束が減るが、全面積から言えば微々たるもので、
実質的な影響は無い。今回は周辺なので先ず問題は出ないだろう。
後玉は軽いカビと汚れなので完全清掃できた。コーティングの痛みは無いから一安心。
シャッターなど問題ないので一件落着と試写したら・・・・・・・・・見事な光線引き!
原因は蛇腹のピンホールだった。きれいなので信用したのだが、見事に裏切られた。暗くして調べると折り目に傷あり。
ピンホールの内と外を小西ボンドのウルトラ多用途の黒で補修、光漏れは止まった。(実は完全ではなく、もう一度
追加に補修した。)
銘レンズと世評に高いニッコール80oF2.8
《試写》
アクロスにて
最後のカットは開放1/60秒、どれも評判通りすっきりくっきりだ。まさにニッコールという気がした。光漏れや
レンズの傷はクリアーしたと思う。ちゃんと抜けた絵になった。
☆レンズについて文句なし。巻上げレバーの根元でフォーカスとか、半押しではなく一々ボタンを押さないと
露出計が作動しないとか、近接が1メートルと物足りないとかはさほど大きな要素ではない。選択はこのレンズが
好きか、67フォーマットが使いやすいかという点だけだろう。名器である。
このカメラの後、マキナからは広角タイプやシュナイダーの超広角をつけたシフト付などが出ている。いずれも人気が
高く、価格もまた高い。その原点はクラップカメラを現代風にアレンジして、使いやすく高性能なカメラを実現した
このカメラだろう。
☆まさに評判通りですね>Sさん
August 2015