ZEISS IKONTA 520-16




 Kzさんから整備依頼のカメラがいろいろ到来した。きっかけはフォールディングカメラのシャッター故障やレンズ曇りの相談だったが、 ついでに見て欲しいと言うのがあり、ごっそり預かって、一気に整備した。これはその中のツアイスのイコンタ、66でノバー付の520-16。



 シャッター不調と後玉の曇りと言う症状で、シャッターは単なる油切れ程度、特に大きな問題は無い。しかし、戦前のノンコートが 曇るのは珍しい。先ずは前周りの整備で、前玉回転式なので、マークして分解。



 なるほど、後玉は曇っている。カビではなくガラスが酸化した油に炒められた感じだ。写真では強調しているが、表面のみで内部には 進行していない。軽い研磨で回復した。ノンコートなので平面性のみ注意すれば何とかなる。もちろん生兵法で磨けば即アウト、従って 真似して再起不能なんてことがあっていけないので、ここに詳しい手順は書かない。



 まだ多少の曇りは残っているが、写した結果には反映しないだろう。



 ツアイスのフイルムを推奨している。存在するなら使ってみたいが、今は昔・・・



 旧コンパーラピッド0番。清掃と給油で軽快に動くようになった。コンパーは古くなってもバネが多少弱るくらいで、材質が良いのか 掃除すれば動きと輝きを取り戻す。プロンターの致命傷、オウムの嘴部のバネ切れは機構的に異なるので起こらない。主駆動用に強い 鶴巻バネを使っているから、劣化しても機能を失う事は無い。羽根には少し油が付いていたので一通り清掃。



 ツアイスには珍しく、蛇腹が痛んでいた。矢印部分の他、角が磨り減ってあちこち危ない。幸いにも懐が深いので蛇腹用の薄い 皮を貼り付けても前板の開閉に支障が無いので、あちこち点検しながら貼り付けた。こういう時はゆったりした作りで助かる。蛇腹や 外装をウレタン塗料で強化して完成













《試写》

 アクロスにて実施









 一枚目のように絞りを開くと多少甘いが、近景から遠景まで問題なし。きちんとしている。

☆イコンタと言えばテッサーと考える向きが多い。ノバーはちょっと低く見られている。確かに開放描写や周辺描写は少し劣るかも しれない。しかし、作品として眺めた時に不満は少ない。諧調変化がなだらかで、少し暗い方が強調されるので締まって見える。 目測カメラながら、ピントの不安は少ない。軽く操作性が良く、トータルとしてのバランスの良さを感じる。66としては小ぶりな 作りで扱いやすい。気楽に使える良いカメラだ。


☆実力あり、良いカメラですね>Kzさん


October 2015


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