PETRI RACER
ペトリ・レーサーというカメラ。大きな故障はないが全体に経年劣化している。型通りレンズの清掃とシャッターの整備などを実施し、
外観を少し清掃した。これもKzさんから。
後からレンズバレルを止める部分のリングが緩んでいたので締めなおし、レンズ清掃など
この頃のファミリーカメラは38-45oでF2.8が一般的だった。スナップしたり、記念写真を2-3m程度で写すのに適している。
性能に無理をしていないので周辺まで一定の画質を保て、各社で多用された。一眼レフの「標準レンズ」とされたものは、多くが
50-55oと少し狭いのはファインダーの関係だろう。レンジタイプは周辺を完全に見切るのは不可能なので、安全率を見込むと
ちょっと広角という設定になる。また、自動引伸機だとマスクで蹴られて、画角一杯はむりなのでそのマージンという意味でもちょっと
広角が望ましかったのだろう。F2.8はISO100のフイルムで1/30秒が切れるEV8程度までカバーできる。つまり明るい室内なら何とか
写真が写せる明るさだ。フラッシュにコストが掛かる時代は、アベイラブルライトではこの辺が妥協点だったのだろう。
何のためか、アクセサリーシューに鋭い傷あり。シャッターボタンはペトリに多い前側にあり、普通のシャッター位置にはレリーズ
穴が開いている。あまり使いやすい構造ではない。
露出計の針はファインダーで見られる。追針式で合わせられるのは便利だ。ただし、本機は抵抗体が痛んでいるのか、動きに
スムーズさがない。使うとしても参考程度だろう。
電池は水銀電池HDなので、バルタを探すかLR44でアダプターを入れるとかしないと使えない。
《試写》
イルフォードHP4+にて
カン露出でも全く問題なし。きちんと遠近をカバーしている。逆光でもきちんと再現している。
☆レーサーという名前がちょっと気恥ずかしいが、見かけと違って基本性能はきちんとしている。パッケージングを工夫すれば
ちゃんとしたカメラとして記憶に残っただろう。この頃のペトリの感覚はぶっ飛んでいるのが惜しいが、それがペトリと
笑って許せる人も存在する。不思議なカメラ、不可思議なメーカーだ。
オーナーは二重像のズレや無限遠で重ならないのを気にされていた。私は距離形式は多少のずれなら気にせず使っている。ズレ分
戻すか送れば済むと。一々直すのは面倒だからという手抜きだが、まあ写れば勝ち(笑)
☆あれこれあるけどとにかく写る、不思議なカメラでした>Kzさん
November 2015