ZEISS IKONTA 520-18 Novarf4.5



 前回のベビーイコンタより古いタイプ、1931年型だ。ノバー6.3を積む。期待の若者沼新君が御近所の片づけで出てきたものを いただいたそうだ。簡単整備と言っても前玉回転を分解掃除はきついと言うことで引き受けた。(沼新邸にてチェック中)



 改良型との違いは、レンズ(Novar F=6.3・Tessar F=4.5)・シャッター(Derval・Comper) フイルム押さえ無しなどだが、 実用するにはそれぞれ大事なポイントで、ツアイスがきちんと改良進化させたのがわかる。



 レンズの清掃後、指標が見えにくいので白を入れた。シャッターは簡易なギロチンタイプで、最高速が1/75秒。以下は 1/50、1/25、B、Tと続く。1/75秒と言っても、同様の機構の他機種が1/100秒と称するのと作動的には変わらない。1/100秒 との差より、一回ごとに速度が相等異なる。それが問題にならない低感度フイルムのおおらかな時代はこの頃変わりつつあり、 改良型はきちんとしたコンパーを積むようになる。



 このタイプにはフイルム押さえが無い。後のタイプにはちゃんとしたものが付いている。軽いテンションを与えれば周辺歪み (フイルムの平面性欠如による)が軽減されるので、薄いプラスチック板(充填豆腐の入れ物から切り出し)を二枚重ねにして ちょっと浮く感じに装着。



 その他蛇腹の補修塗装と全体の錆落し、皮の手入れなどを一通りして完了。ピカピカにするのは違和感があるので、いかにも 昔のカメラと言う雰囲気は維持した。









《試写》

 アクロスを切り出して使った。120切り出しなので21枚写せる。(リーダー部を切り詰めているので光が回りやすい)









 全て1/75秒にて撮影。多少フレアーっぽいが大きな問題なし。遠景・近景ともしっかりしている。猫は尻尾を振っているのでボケた。 ネガのコントラストはちょっと低い。(スキャンでガラスに挟んだらモアレが出ている。補修しているが残っているので、 その点は割り引かれたし)

☆全て最高速1/75秒、かつ開放6.3-11の三枚玉だから、フイルムのラティテュードが頼りだった。400で使うのは大幅オーバーを 減感するかNDを使うしかないだろう。100では許容範囲に入った。それらの制限は結果に関係なく、きちんと記録できた。手ぶれと 暴発以外で使えないカットは無かった。

 ベビーパールの元になった機種で、当然ながら酷似している。結果は意外なほど健闘していてさすが御本家だ。後のf3.5との 比較はそれぞれ完璧なコンディションではないから断言できないが、ほぼ2絞り暗いだけに、6.3の方が全体にピンが良いように 感じた。さすがに開放だと三枚玉特有の崩れが出るが、密着で見ていた時代なので十分の画質と言えよう。80年を越えるカメラ としてこれは立派な結果だ。


☆カメラの発展を知るのに良い教材です・笑>沼新君


December 2015


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