MEOPTA Flexaret3
フレクサレットの初期に近い3型はフォトグラファーnoBuさんのもの。ちょっと変わった仕様なので試させて頂いた。
基本的には1型に近いもので、ヘリコイド式のフォーカシングだが、赤窓もあるセミオートローディングとレバー式巻上げで
実に折衷的。レンズはミラール(Mirar)が付いている。
普通ならプロンターが付いているのだが、なぜかコンパーラピッドが乗せられている。このコンパーが不調なので検証も兼ねて
整備する。
この状態にするには、レンズバレルの固定リングを外し、レンズバレルを持ち上げ(シンクロコードをかわしながら)て
ヘリコイドに前板を固定する4本のネジを外せばそっくり外れてくる。
全く連動しないのでレンズバレルと前板は簡単に分離できる。ボディー側にはヘリコイドが残るのはフレクサレット共通。
油切れと汚れで渋っていた。コンパーの場合、渋りはスローガバナーとは限らない。一番多いのが羽根油、次に羽根の駆動部で、
スローガバナーはそれ程重症でないことが多い。ガバナー外して清掃するのはあまり薦められない。ガバナーは固定位置が意外に
微妙で、正しい位置を出すのは面倒だ。コンパーの整備ではレンズを外してベンジン=ナフサ(ガソリン)などの有機溶剤で
漬け込みし、超音波洗浄が一番楽で結果が良い。これだけで直るのが普通だ。分解してパズルを楽しみたいのなら別だが
コンパーは普通の0番、ただしケーブルレリーズ用の部品は外され、穴はきっちり閉じられている。ここまでの作業はアマチュア
の仕事とは考えにくい。プロンターの不足で乗せたというより、より高速のシャッターを求めてコンパーにメーカーで換装した
と見るのが妥当だろう。プロカメラマンなどの希望に応じて換装するのは内外のメーカーで普通に行われていたので、メオプタも
何らかの要請で換装したものと考えられる。
連動が無いから必要がないが、このダルマ型ベース部は皮を剥がしてネジを外さないと外れない。ピントグラスの交換には
その作業が必要となる。清掃のみならこの状態で可能なので、通常のメンテナンスで皮を剥がさないで済むのは利点か。
貼り皮が随所ではがれかかっているので、外せるだけ外して再接着した。
後玉の後ろにあるバッフル板。嵌っているだけなのでレンズバレルを外す時は簡単に外せる。
巻き上げレバーには一切ストップが掛からない。撮影前でも巻き上げられるので注意が必要だ。また、現代フイルムだと
巻上げ量不足でコマ間隔がずれる。試写は全て赤窓にて行った。裏紙が厚いフイルムなら問題は出ないだろう。
《試写》
使ったのはコダックTMY100、期限切れだがきれいにベースが抜けたので問題ない
一枚目は最接近、二枚目は開放でわざと前ピン、三枚目は非常にコントラストが低い曇り空、最後は画面に太陽を入れた逆光。
それぞれに三枚玉とは思えないしっかりどっしりした描写になった。絞って鋭く、開けてふわっとする。
☆メオプタのレンズは全般的に評価が高い。特に万能的なベラーに人気がある。しかし、初期の廉価版とも言えるミラールは
実に中判らしい描写をする。全体として暗い方に諧調が豊富で、絞り効果がはっきり出る。良いレンズだ。
過渡的な機能で多少の使いにくさはあるが、しっかり作られたカメラで、じっくり写すのが楽しくなる。何も連動が無いから
レンズとシャッターのメンテナンスだけで使い続けられる。信頼性・耐久力において非常に高く評価できる。
☆良いカメラです。使えますね>noBuさん
February 2016