ZEISS WERRA



 独特のスタイルで人気が高いツァイスのヴエラ、ツイッターで知り合ったafcameraさん からお借りした。これだけ有名なものなのに、なぜか縁が無かったので始めて触った。

 由来や使い方は大阪の老舗、八百富カメラのサイト がわかりやすくて詳しいので参照されたい。名称についてはドイツ読みに近いヴェラとした。実際には巻き舌が入るヴェッラだろう。



 フードがレンズキャップとともに鏡筒にぴったり被る。鏡筒根元のリングを廻してチャージするなど機構が独特だ。動きは滑らかで、 東独ツアイス・イエナのデザインセンス、技術力が感じられる。



テッサー50o2.8、コンパクトカメラ用としては長い玉が付いている。目測前玉回転で一番前に絞りリングがあるので、距離合わせ すると指標が回ってしまい、ちょっと使いにくい。ただ、シャッター速度や絞りはほぼ固定で使うことが多いカメラなので、特に大きな 問題ではない。



 上部はシンプル。シャッターボタンのみ。レンズ根元のリングが巻上げ部で、軽くきちんとチャージできる。



 ファインダーは逆ガリレオ式で、視野枠など無い単純なもの。実際の撮影では見える範囲は全て画角に入っていた。視野率が低いので ファインダー一杯で写せば良いということ。最接近が90センチなので、パララックスはそれ程でも無いからこれで良い。



 下部には巻戻しノブ・裏ブタ開閉キー・巻戻用ボタン・枚数カウンター(手動、順算式)が付いている。



 裏は引き出し式。開閉キーを廻してスライドさせて開く。フイルムガイドレールがツアイス独特の斜め点線。

《試写》

 FP4+とKODAK100にて実施。

















 3枚目でわかる通り、近寄ってもピントが良く、絞りによる変化が大きい。開いた時は周辺減光が出るが、暗い所の諧調が豊富なので、 象徴的な絵になる。絞り込むと平均化し、ファミリーカメラとしてのパンフォーカスにぴったりだ。二枚目はLEDライト一灯でほぼ 最接近。ネガカラーでは周辺減光の影響が目立たず、暖色系の穏やかな描写が得られた。


☆独特のデザイン先行で、写りは平均的だろうと思っていたが、良い方に裏切られた。久しぶりに「鷹の眼テッサー」を感じた。 数多あるテッサーの中でも上のレンズだ。

 このレンズは絞り効果がはっきり出る。開くとピンが甘くなる。しかし合焦部にはちゃんと芯があるので、アウトフォーカス部に 滑らかに移行するから違和感が無い。周辺の光量は相当落ち込むが、急激ではないので違和感は無い。暗い所の諧調が豊富でトーン ジャンプが無いのでしっとりとした描写になる。絞り込むとテッサーの鋭さがしっかり出てきて、申し分ない。低感度 フイルムを使い、絞り優先で被写界深度効果を効かせるといったテクニカルな撮影に応えられる。

 正確なフレームを作るには必然的に明り取り窓が必要で、そうなると連動距離計も欲しくなる。それではシンプルなデザインが崩れる。 最低限写せる性能を持たせた上で、デザイン優先に割り切った仕様が清清しい。

 デザイン優先のカメラには駄作が多いが、これは傑作だ。これはこのままで良い。距離計や露出計組み込みなどは野暮だ。 気楽にスナップ、時に本気でしっかり、どちらにも対応する。この手のカメラに対する知識と腕があれば、 より高い結果が期待できる。


☆操作が面白くてよく写ります!>afcameraさん


April 2016


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