KONICA 度数記録カメラ
コニカの度数記録カメラ、かつての電話局で電話の度数記録計のカウンターを写す為に使われた特殊カメラ。
いろいろお世話になっているkazさんがオークションで見つけて呟いた。それを見た悪童連(私を含む)が面白そうだと
けしかけて落とさせた(笑)
先日kazさんとお会いしたら、これを渡された。何とか写せというミッション付で。
レンズはヘキサノン28o3.5がついていて、その他は電動らしい。巻戻しは手で廻す仕様である
ここには所属などいろいろ書かれていたが、念のため隠してある
ここだけは手動の巻戻しノブが90度の位置に付いている
底部に左にはメインモーターが見える。普通の三脚ネジあり。半固定的に使っていたようだ
上部にデバイスがまとまっている。シャッターは指で示したところが1/4回転してリンクで直接開くようだ。モーター的外観だが、
動きから見てソレノイドの一種だろう。ここの配線から、左の端子から電源供給し、レリーズ命令も送り、一枚写すと大きなドラム式
カウンターの下に隠れている駆動部で一枚巻き上げる方式だ。電圧などを示すものは無く、制御は機械式でリンクとストッパー
などが目立つ。上ブタ裏に期待した回路図は無かった
レンズはサブボードで簡単に外れる
シャッターはバリオタイプのビハインドシャッターで二枚羽根。上のソレノイドで直接駆動される。調速部は見当たらない。
この時点でオリジナルのボディーで写すのは無理と判断した。回路と動作電圧を確かめ、スイッチで撮影出来るようにするのは
不可能ではないだろうが、その当りの部品や知識は私には無い。それにこのままでは数十センチにピントが固定され、かつ
絞りの操作も出来ない。室内でテーブルフォトでは何も面白く無いから、レンズのみ取り出してレンズの性能のみ
調べてみようと思った。
機械として復活させるのは後に続く電気の達人に託す・・・
レンズはシンプルな雰囲気で、マウント式ではなく直接ネジ止めされている
カバー外すと、60年代のレンズが出現。ヘリコイドがあり、0.3メートルから無限まで、絞りはプリセット式で、設定したら
誤動作防止でカバーをしたようだ。これはコニカFP時代のものと見た。マウントさえあればそのまま使えるだろう。しかし
そんな便利なものは存在しない。使いたければ作るしかない。
フランジバックはサブボードを外した状態でおよそ34.2ミリだ。これは一眼レフには短すぎる。L39マウントなら無限遠が
出るだろうと踏んで、キヤノンの50o1.8のジャンクから取り出したヘリコイド部を臨時接着する。透明のゴム系を使えば
テスト後に外して元に戻せる。また、マウント側のヘリコイドで精密に合わせられるはず
装着するとこんな感じ。これで無限縁が出ると確認できたのでピントグラスで無限出しをし、マウント側を仮固定してテスト撮影
したが、微妙にずれている
☆こういう作業は広角の方が難しい。正確には焦点距離が短いほど難しい。理由の一番はピントの山が見えにくいこと。焦点距離が
短いと、フイルム面との距離が非常に短く、わずかなズレでも大きな違いになる。長焦点レンズなら図にすればわかるが、ピント面の
ズレは大きな違いにならない。これが短いレンズを合わせる難しさだ。ピントグラスを覗いて裸眼でも可能なのは頑張って69から上で
無いと無理なのはそんな理由だ。35oのピント出しには普通の4倍ルーペでは無理で、最低でも10倍程度は必要だ。ハーフの30o前後
になると、実写を拡大して合焦位置から逆算して設定する必要があるのはこんな理由による。
改めて明るい海辺であわせなおしてネガカラーで運用した。
《試写》
モノクロはプレスト、ネガカラーは富士業務用100。モノクロの二枚ずつは一度写してずれに気付き、直したものと並べた
露出は全て計器で見たので揃っていた
☆特殊用途の計測器だが、実は普通の一眼レフ用のレンズを流用していた。それだけ汎用性があるレンズとも言えよう。さすが
ヘキサノン、きちんと合えば今でもしっかり使える画質があった。
このレンズはこの状態ならそのまたマウントアダプターでNEXなどで使える。しかし、フイルムカメラのレンズを
デジタルかつ狭い範囲で写し、カメラがいろいろ加工している結果は意味が無い。そんなものでわかったつもりは嫌なので
拘ってみた。結果はご覧の通りで立派なものだ。まさにちゃんと使える。レンズの進化について改めて考えさせられる。
《当時を知るフォレスターさんの話》
私が知ってるのはコニカ・トプコン・ペンタックスの3社です。
電源は-48Vじゃなかったかな?AC100V仕様では無かった気がします。
固定フードが度数形100個(10x10)をカバーして押さえつけて撮影します。
初期には手動でやってましたが後に自動撮影出来るタイプも出て来ました。
当然、長尺マガジンを使ってました。現像は自家現像でしたよ!
大きな局では自動撮影(セミオート)小さな局は手持ち撮影でした。
収納されていた箱から推測すると撮影面まで40-50p位の距離だと思います。
度数形の読み取りは眼で読んでました。
当時私の居た職場は3,000加入程度の局でしたから作業は一週間程度かな。
ネガは4切りに伸ばしていました。暗室が当然用意されていていました。
《使用機材》
キヤノンP(モノクロ)、安原一式(ネガカラー)
☆ここまででした。後に続く戦士諸士に期待しましょう>kazさん
April 2016