MINOLTASEMI P
ミノルタの645、セミP、kazさんの依頼で整備した。そこまでの機種はセミミノルタだが、戦後タイプはミノルタが先に
付いている。
レンズはブロマーSU、CHIYOKO名でミノルタフレックスに塔載されたものとほぼ同一のきれいなレンズだ。
不具合はスローガバナーが働かず、低速が出ないこと。カバーを外すと黄色い矢印のタイム設定のピンが動いていない。これは
巻上げ時にシャッターリングの溝によって設定されたところまで動き、シャッターが切られるとこれが抵抗して低速を出す。
ここが動かないのはよくあることだが、このタイプの二枚羽根は二枚羽根の駆動ピン穴を同じピンにさして、同時に駆動することで
開閉する。単純だが分解すると案外厄介なのと、組みにくいので分解せずボロンの粉末を吹き込んでドライ順渇してみた。
結果は上々、次第に動くようになった。ほぼ規定タイムが出るようになったので完了とした。その他はきれいなので蛇腹のみ
軽くウレタン塗料で強化したのみ。
基本的に初期のものと同様に目測だが、この小さいファインダーが意外に見易い。ボディーレリーズなどいろいろ改良されて
残るはセミオートローディングと連動距離計、セルフコッキングという時期のもの。
《試写》
T-MAX400にて実施。現像はSPDなので専用より多少コントラストが低いが特に支障なし
ハイライトが飽和せず、中間がきちんと出る。派手さはないがコントラストと画像の精密度はロッコールの系譜
☆軽く小柄だがしっかりしている。操作性は軽快で目測も含めて好感が持てる。これのライバルはセミパールだろうが、レンズの
描写の好みを別とすれば、こちらの方が巻上げのわかりやすさや右手レリーズなどで勝る。
この後、わかりやすいファインダーと堅牢性で二眼レフに集約したのは理解できるが、このタイプにパールのような進化が
見られなかったのは残念だ。ミノルタのどちらかと言えば機能優先の硬派なセミ判の完成形が見たかった。
(追記・オートセミミノルタが連動距離計とセルフコッキングを実現している)
☆つかいやすくて良いカメラですね>kazさん
MAY 2016