FUJICA GS645



1983年にほとんど20年ぶりに登場したフォールディングカメラ、GS645はセミスーパーフジカ645とでも呼べるマニュアル フォールディングカメラだ。以前に會津さんから頂いたセットの底に入っていたが、蛇腹が痛んでいるのを見て触って いなかった。何はともあれ写せるようにしてテストしようと思い立って整備した。

 レンズはEBCフジノン75o3.4と御先祖様とほとんど変わらないし、二重像式距離計塔載も変わらない。ボディーが プラスチックになり、露出計が組み込まれている。収納時のコンパクトさとレンズの良さで登山用に使われる事が多かったこと、 他の部分に比べて蛇腹の耐久力が低いところまで似ている。

 蛇腹は角が経年劣化していて、中から見るとプラネタリウム状態。パーマセルテープや薄い皮で補修すれば一先ず 使えるが、前板を畳むのは無理になる。本気で実用にするなら蛇腹を作るしかないが、差し当たり使えるようにしようと 補修した。巻き上げないと蛇腹が畳めない、レンズバレルが外しにくく周りが狭いのに蛇腹のサイズが大きいなど、面倒が いろいろある。それに、645の蛇腹は小さいので折るのが大変だ。出来ればやりたくない。



 蛇腹はさしあたりテストできれば良いと、角の大穴は薄い皮を張り、全体をウレタンで塗りこんで使えるようにした。 近い将来交換が必要なのは間違いないが、一応使える。ただし厚くなったので完全に畳むのは大変だ。

 距離形の動きが悪く使えない。軍艦部を外す。



 普通の距離計に露出計のフレキと回路が乗っている。



 フレキを剥がし、距離計にアクセス。下側のリンクの動きが悪い。清掃とドライ潤滑で機能回復した。その他には特に問題なく、 組んだのだが、この作業が原因でフレキが切れたようだ。露出計のLEDが点灯しなくなった。もともと露出計は参考程度なので、 直す事は考えなかった。そのまま放置した。













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 試写中。お供は兄弟分のGS 645 W のレンズを使った自作、K645W

《試写》

 試写はアグファのAPX400









 一枚目は近接で開放を試した。それぞれほとんどスキャンのままだが、場の光に応じて出ている。距離計は正確で絞りに 応じた表現が出来る。

☆最後までフォールディングカメラを作っている富士の定番645、カメラとしての性能に文句なし。淡々ときちんと過不足なく 伝えるのはフジノンの伝統だ。軽く、薄く畳めて高画質なので、特に登山者の風景撮影に重宝された。

 ただし、耐久力などではいくつか疑問符が付く。第一に弱い蛇腹。経年劣化が激しく、多くが痛んでいる。また、シャッター チャージとリリースが独特で、セットレバーが戻らないと開いたシャッターが閉じないのを利用したバルブがあり、どの速度からも 使えるがこれが極めて使いにくい。専用ボタンを押して開き、シャッターボタンを押して閉じるのはわかりにくすぎる。また、 これらの連係がワイヤーで行われていて狂い易い。

 もちろんこれらの問題はメーカーにて定期メンテナンスすれば済むこと。カメラとしての基本に問題は無い。本気で運用するなら 最低でも10年に一度はオーバーホールするのは当然だ。何十年も手入れしていない機体で耐久力が低いなどと言う評価は 馬鹿げている。機械は定期的に手入れするのが前提だ。

 露出計は適正と+−をLEDで示すがAEは出来ない(後のタイプはAF・AE)


☆基本性能が高いカメラですね>會津さん


June 2016


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