GOMZ SPORT



Cnopmとキリル文字で書かれている SPORT 1935。ソ連の後にロモになったGOMZで作られた。これと少し前に発表された キネエキザクタが35o一眼レフの御先祖様だ。

 一度は写してみたかったので、何でもあるSコレクションでお借りした。



 レンズはインダスター10、5p3.5。ごく直径が小さい独自マウントの交換式。バヨネットでレンズ側のフックで固定 されている。独特の無限遠ロックが付いている。





 3群4枚のインダスター。ノンコートですっきりしている。





 フイルムは専用マガジンに暗室装填してセットされる。巻戻し機能はないので、撮影後は暗室で取り外す。 構造的には簡単にパトローネ式に変更できるから、ソ連にはパトローネが無かったのだろう。



 巻き上げてミラーがセットされた状態







 ミラーが落ちて行くと遅れて下に動く金属板との間でスリットが作られ、フォーカルプレーンとして働く。一般の ミラーシャッターはミラーが跳ね上がるのに合わせてチリトリ状の後幕が追いかけるから、この動きとは異なる。 スポルトのスリットはフイルムの直前で作られるので、完全なフォーカルプレーンシャッターと言える。 (巻上げにて表現しているので、この写真ではスリットは見えない)

 ファインダーは透視型も備える。ピントを出してあれば、アイレベルで動体を狙える。

 1/500秒、1/200秒はドライ潤滑したが露光ムラに不安がある。文化財なので分解は避け、確実に開く1/100秒を使って 試写することにした。















《試写》

 最初はボケボケだった。



 これでもましな方で、ピントは無限位置だった。原因は前玉の位置不良。以前に清掃した跡がくっきり残っていたが、 再組立できちんと最後まで締めこまれていなかったようだ。

 改めてプレストにて









 特に問題なくなった。しかし完全整備すればもっと良くなるだろう。

☆意外なほど手堅く、きちんとした造りだ。これにペンタプリズムを乗せ、巻戻しノブとスプロケットフリーを設定すれば その他は現状のまま十分使える。大戦前にここまで使えるカメラを作っていたのだから、ソ連のカメラをドイツのデッドコピー としか見ないのは偏見だ。

 このカメラが世界最初の35o一眼レフか、いやキネエキザクタが少し早いとか論争があったようだが、それは35o限定の 話で、一眼レフははるか以前から存在する。元祖を問うなら木製一眼レフだ。それぞれに貴重な機種だから、 発売時期を比べる必要は無い。


☆意外に実用的ですね>Sさん


July 2016


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