AGFA-ANSCO B2 Commander Golf
《ことの起こりはツイッターで「それなら直すから送って」だった。》 その〆
アグフアがアメリカでアンスコと共同して作ったカメラ、調べた限りB2コマンダーだと思う。
ケースにゴルフと書かれているが、レンズ前にはコマンダーと書かれているのでそのまま表記した。どんなカメラかは
Mike Eckman Dot Com の記事
を参照されたい。非常に綿密な記事なので、信頼して良いだろう。1936-1937に発売された同形式を、ドイツではイソレッテ
アメリカではB2コマンダーと名付けていた。
特に不具合はないが、念のためレンズバレルを降ろしてシャッターを開いてみる。バリオタイプなのでこの先の分解は
組むのが厄介だからこれ以上分解せず、ボロン粉末でドライ潤滑。
内部に修理保証書のようなタグが貼ってある。アメリカ、コロラド州のボルダーのカメラ店らしい。その下に何か
書き込んであるのは元の持ち主の名前だろう。少なくとも一度はリペアされているのがわかる。
年式の割りに蛇腹がきれいなのは、張りかえられているから。ただし、仕事は雑で、フイルムゲートの左右がベコベコに
なって、それを叩き直した形跡がある。上下は無事なので、ギリギリ平面性は保てている。
「USE AGFA B2 FILM」と読める刻印がある。B2(=2B?)とは120フイルムのことのようだ。ブローニーはコダックが使っていた
通称なので、ブローニーと書くのは避けたのだろう。ただし、B2という表記は始めて見た。
アグファのアナスチグマート、ノンコートで85o4.5。ピントは目測の前玉回転式。
《試写》
APX400にて実施
絞り込んでのパンフォーカスはすっきり、近接で逆光補正してもきちんと出て古めかしさが無い。85oなので撮影時に
75oとの比較で画角の狭さを感じた。
☆今回も感じたことだが、フイルムメーカーが作った(作らせた)カメラは、カタログスペックは普通でも、結果としての
「絵」は良いものが多い。機械としてのカメラと言うより、画像を撮影して結果を見せると言う部分でまとめが良いのだ。
それ程解像度が高くなくても、光の方向による違いが出にくい、全体のトーンが揃っていて焼き易いなど、パッケージ
としてのカメラが良いものである事が多い。今回もその例に漏れていなかった。
このカメラで言うと、周辺落ちが少なく、絞りを開いてもバックにグルグルボケが出ず、堅牢なシャッターと内面反射が
少ない蛇腹という基本に、66のフイルム面積が加味してこの結果を得ている。目測、赤窓、板金ボディーなど
スペックは古臭い。しかし、そのおかげで、シャッターさえ動けばとにかく写真が写せる。
「電池無ければただの箱カメラ」より逆説的に優れていると言えよう。
☆気楽に使えます。でも結果は立派です>ごまめさん
Oct 2016