小西六 PEARLETTE
小西六のパーレット、コンテッサ・ネッテルのピコレットを模範にした127のフォールディングカメラだ。
Kazさんの依頼で整備した。
このカメラについては専門サイト、フェースブック「六櫻社」
が詳しいので参照されたい。
問題は低速が出ないこと。分解は簡単な2本のネジを緩めるのみ。この時に使途不明のバネが出てきた。
単純な二枚羽根のエバセットタイプで、黄色が設定部、赤はここを押すタイミングで設定プレートが干渉して低速を出す。
ところが、設定部にリンクする部分が無い。従って最高速(と言っても1/100)以外は使えるはずが無い。バルブは調速
プレートが必要ない構造なのでちゃんと動作する。どうも、前に分解した人がいて、再組立で部品を紛失したので
無いだろうか。
左の輪が調速プレート、中央が設定部、右が落ちてきたバネ。これは設定部にテンションを与えるためかもしれないが、
どのように掛けていたのかわからない。構造から推察して一先ず掛けたがこれは速度変更要素ではない。プレートが
位置によって閉めをコントロールするはずだが、全くリンクしていないからこれで低速が出るはずは無い。
低速と言っても1/25と1/50なので実用では1/100単速で使っていたはず。押し難くストロークが長いレリーズレバーでは
1/100でもブレが不安なのでここであきらめた。正しい動作に必要な要素がわからないとどうにもならない。同形機で
正常動作のものがないと比較できないからここまでとした。
127カメラではフイルムの位置固定があやふやで画像の歪みやピントずれが起こり易い。このカメラはウラブタを
開閉式にし、きちっとしたフイルムトンネルを装備してピント位置を明確にしている。
フレームファインダー中央にあるのは近接撮影用のアタッチメントレンズで、ごく弱い+で1.5m前後にピントが
来るようだ。小さいフィルターは反射ファインダーにかかり、見た目のコントラストを上げる働きをする。
《試写》
T-MAX100にて実施。ただし途中で手が触れたらしくバルブになってしまい、まともな結果は2枚しか得られなかった。
セーフだったこれらから、ピント位置は意外に遠くで、無限までしっかりピントに入っている。コントラストも
ちゃんとあるので、きちんと写せばより良い結果が期待できる。残念ながら近接レンズのものは無いので推測だが、
近接用は比較的遠くから近いところをカバーするのではと思う。
☆単なるデッドコピーではなく、いろいろ工夫して画質向上に努めたのが随所でわかる。テスト枚数不足で確定的には
言えないが、同時代のベス単よりずっと優れたカメラだ。きちんと整備出来れば、上品な結果を楽しめるだろう。
☆小西六のカメラはいろいろ工夫されていますね>Kazさん
July 2017