MINOLTA SEMI U



 メディアジョイによれば、 「セミミノルタII型は1937(昭和12)年12月に初期型が発売され、以来1943年まで生産されました。1943年には戦況の 悪化に伴い、II・8型を最後に生産停止を余儀なくされました。」とある

 机の周りを片付けていたらこれが出てきた。ボロボロで蛇腹は完全にアウト、前ブタのロックは錆び落ちているので 直しようがない。それで放り出されていたのだろう。いつ、どこから来たか定かではない。買ったものではないのは 確かだが。

 このまま朽ち果てるのはかわいそうだと思い、テスト撮影できる程度に修復しようと考えた。



 良く見るとレンズの傷は少なく、ノンコートなのでカビもない。直す甲斐がある。



 蛇腹は直せるレベルではないので、皮の切れ端などで外から補強。収納できないから畳まないのを前提に適宜 直した。レンズは清掃、シャッターは潤滑で快調になったが記録は撮り忘れた。



 フォールディングカメラには珍しくダイカストで出来ている。各部を磨いて適宜修復。手が自動で動いて作業を進め、 たちまち完了。残った皮を全て剥いで、新しい皮にすればきれいになるがロゴが消える。残ったところはそのまま 固定した。



 ひとまずテスト撮影可能になった。



 コロナー・ニッポン 75mm F=3.5 レンズ番号はドイツ式でNr.96914だ











 白いところは穴があって、そこに塗料をつけ、乾く前にベビーパウダーを付けている。これで応急的には止められるが 本機は折り目がぱっくり口を開けたりして収拾がつくものではない。まさに応急措置

《試写》

 プレストにて実施。いつ蛇腹が崩壊するかわから無いので、近くの西友の裏の田宿川周りで30分で一気に16枚写した。







 写したら即巻上げ、数枚は一気に処理して万一光漏れがあっても救えるコマを作ろうとした。結果は14枚が成功した。 最後の二枚は蛇腹にまた口が開いて、見事に全く使えないコマになった。まあ大成功の口だ。

☆ロッコールではなくいかにも軍国時代の三枚玉だが、期待以上の結果だった。二枚目は画面すぐ外に太陽があるのだが、 意外なほど健闘している。これならちゃんと治して使おうという気になる。

 ダイカストの本体は曖昧さが少なく、硬質で良く出来ている。曖昧な光漏れなどがなく、周辺落ちも少ないので しっかりした画像だ。唯一の欠点はシャッターがエバセットで、最高速は1/200秒までと速度的には文句ないはずが、 シャッターストロークが長くて衝撃が大きく、手ブレし易いこと。不注意に切るとぶれる。

 全体としては第二次世界大戦の真っ只中で作られたのに立派なクオリティーで、ミノルタの生真面目な造りを 感じた。良いカメラである。


January 2018

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