KONISHIROKU PEARL(十一年)



 小西六の69タイプパール、単独距離計付のおそらく昭和八年タイプ。ただし、資料が少なく確証はないので、異論があれば すぐに修正する。

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 Konica@wiki を主宰される森羅 誠さんから下記のお話がいただけた。

 昭和11年式の距離計付きパールが該当するかと思います。距離計が基線長60mm、全長90mmだと間違いないと思われます。
距離計付きパールには、距離計が付いた状態で発売された11年型と8年型パールにメーカー改造で距離計を付けた2種が
存在しますが写真を見る限り11年型でしょう。

見分け方はレンズがオプターのF4.5、シャッターがデュラックス、シャッター速度の刻み方、そして先に書いた距離計です。
オプターは昭和8年の8月に登場しますが、当初はパールには搭載されずアイデアに搭載されています。その間パールは
ザイオン銘です。また、kanさんの写真だとレンズユニットがオーカ仕様です。オーカは昭和10年登場で、同じユニットで
組まれたパールなので10年以降の可能性が高いです。以上から距離計付き11年型パールと見ます。

*** ということで、11年型と確定した。森羅 誠さん、詳しいお話を大変ありがとうございました ***

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 せっかくの単独距離計だが、画像が全く安定せず使えない。軽く叩くと像が動くから対物のミラーの接着が外れているようだ。 両サイドカバーが外れるので、ここからどうにかならないかと思ったが、ここからはどうにもならない。



 結局、見えるネジは全て外して中からユニットを抜き出す大修理になった。予想通り距離計窓側のミラーが外れていた。 再接着し、清掃して組み立てたのだが、意外なほど面倒で各部のすべりを改善させないとダイヤルを廻してもミラーが 動かず駄目とかいろいろ試行させられた。



 専用シューに取り付け。ロゴマークが純正である事を示している。この前面カバーの下、中央に左右の調整ネジ、 向かって左側面のカバーの中に上下調整がある。

 距離計はコダックなどに見られる上が素通しの実像、下が距離窓から入って二度反射した実像で、ダイヤルを廻すと 反射鏡が動いて合致し、その時の数字を読んで距離計レバーに設定するタイプ。慣れないと合わせにくい。

単独距離計+全群直進ヘリコイドはピントについてはスーパーイコンタのものより優れていると期待できる。イコンタ系は前玉回転と プリズムを連動させて、非接触で合焦させている。もちろんいろいろな補正で実質的な遜色はないが、小西六は一貫して 全群ヘリコイドを採用し、後のパールシリーズではそれに距離計を連動させて好評を得ている。優れた方式であるのは間違いない。

 残念ながら蛇腹は角が寿命で、作り直した方が良いレベルなので、軽く補修した上で遮光幕で包んで試写することにした。



 OPTAR 10.5cm F=4.5









《試写》

 アクロスにて実施







 一枚目の空は現像ムラあり、二枚目は絞り開放、三枚目は光漏れが多少あり。大きく影響しないので掲載したが、多少手ブレ している。8枚目なのでもう一枚を押さえられなかった。

 69らしい精密さと、周辺までしっかりした余裕を感じる。古いレンズに多い「ネガサイズの大きさに助けられている」という 感じが少ない。小西六・コニカのカメラ作りはよ真面目だと感じる。良いと思われる方式はきちんと使い、材質も良いものを 採用している。整備さえすれば長く使える道具を目指している。それが伝わるカメラだ。
 もちろん構造は古く、テストなのでそのまま使ったが、シャッターレバーは手ぶれの元とか反射ファインダーは使いにくくて 目安程度とか。まあ使いこなしでなんとでもなる欠点ではあるが。


☆さすが小西六です>Sさん

May 2018

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