p543
Concava LTD Tessina
テッシナ、代表的な超小型高級カメラの一つ。コンパス・ミノックスと御三家と言って良いだろう。スイスで作られていた。
S氏にテストを薦められていたが、しばらく手が出なかった。今回は楽しむつもりでチャレンジした。
テッシナが優れているのはフイルムが特殊ではないこと。専用のごく簡単な巻込機が意外に使い易い。35oフイルムのパトローネの
フイルムの先端を真っ直ぐにしてリールに差込み、専用マガジンを組んでこのケースに入れ、ノブを約10回転すると24枚くらい写せる
フイルムが用意できる。カッターが仕込まれ、ハサミ不要で明室で簡単に作業できる。24ミリの縦幅がちょっと無駄になるけれど、
このボディーでハーフを一回り小さくした14*20で写せる。
元箱はカメラというより宝石用のしっかりしたもの。
上面にほとんどのコントロールが集中している。ファインダーは上からだと二眼レフ式、水平には逆ガリレオの目測式ファインダー
になる。大きさ的に似たコンパスと大きく異なるのは、全ての操作が小さくなっているだけでごく一般的な距離計カメラの
延長線にあること。距離・シャッター設定・絞り設定はノブで、巻上げはスプリングモーター、最後にスプロケットをフリーにする
レバーを使い巻戻すまでほとんどが35oカメラのシステムに準じる。慣れればそれ程ストレス無く写せるのは確かだ。
右のノブは巻上げ用スプリングのため、左は巻戻しノブ。小さいだけで35oカメラと同等の操作を要求する。シャッターは廻す方向が
一方向だけ。シンクロ接点もちゃんとあり、飾りプレートを外せばアクセサリーシューが出てくる。
前窓を開ければいつでもシャッターは切れる。ノーファインダーはごく簡単だ。スプリングモーターの動きが悪くなったら
ネジを巻けば良い。
このボディーで25o2.8のレンズを組み込んでいる。その距離を稼ぐために内部のミラーで90度曲げている。
ここに腕につけるベルトが固定される。スパイカメラとしても機能する。
《試写》
モノクロはORWO、ネガカラーは富士の業務用100で、どちらも期限内のものから巻いた
どちらも雨になりそうな日だったので、シャッターはほぼ1/125秒で、絞りは4を中心に写した。小さいフヌイルムには過酷な
条件だった。最後のカットは1フィート設定なので、輝度を落とし、シャープとコントラストを強めにしている
☆実質で14×20oのフォーマットだから、面積でハーフ判の半分というところ。さすがに絞りを開いての遠景はきついが、なかなかの
性能である。周辺が少し揺れているのは、入った光が一度反射してフイルムに達するからかもしれない。
ごく小さいので使いやすくは無い。二眼レフではあるがピントグラスは小さく暗い。とてもピントを見られるものではなく、
実際に使うのは逆ガリレオファインダーのみ。フィートで無限から1フィートのフォーカスは近接でなければ調節しても深度の内、
気のせいしか変わらない。シャッター速度変更は回転が一方向なので不便、絞り値と撮影枚数が読みにくい、フイルムエンド
の固定が悪く、外れ易いのでダークバッグ必須・・・だがこのサイズのカメラだから文句は言えない。
ハーフにはもちろん負けるが、必要最低限の記録としては使える。それがこの小ささ、楽しい。
☆使えます、面白いです>Sさん
October 2018