ジャンクカメラに限らず、フィルター枠(又は鏡筒の最前面)が痛んだものが多い。一番前で非常にぶつけやすいので
ここにまったく傷が無いものが「美品」の最低条件だろう。
ジャンクになっているものはここが痛んでいるものが特に多い。外観だけならともかく、ここが痛んでいると、
フィルターが使えず、ねじ込みフードやレンズキャップも使いにくくなる。何より「ボロい」と思われる。
もともとジャンクだから外観はどうでも良い、という人もあるが、私は「汚いものは嫌い」だ。
別にきれい好きなのではなく、それではカメラがかわいそうだと思うからだ。新型と並んでも堂々と自己主張
するためには、「使い込んだ美しさ」は認めるが、「単に汚い」のは許せない。
ここでは二種類の工具を紹介しよう。
@ネジの力で広げるタイプ。
JFCのお仲間HIROさんからお借りした。マイナーな工具だが市販されているようだ。
ネジを緩めることで内側に曲がったものを広げる。基本の広さが裏表二種類あり、ほとんどの枠に使える。
このようにする。フィルターネジに相当する筋が切ってあり、痛める心配は無い。きれいな仕事ができる。
欠点として、反対側も同じ力で押すので、固い(材質が厚い)ズームレンズなどでは本体につけたまま作業
しないと全体がO型に変形する。このストレスがちょっと不安でもある。ただし、一般的なレンズに関しては
非常にきれいに作業できる。
Aラジオペンチ改造型
これも同じくJFCメンバーの番町氏から教わった。簡単に言えばラジオペンチなどの片方の歯を短くし、
外の支えを多くしててこの原理でこじって直すものだ。
このように加工し、厚い皮をフィルターネジなどの保護用として貼り付ける
使い方は図のようにする。力はけっこう必要だが、少しずつ作業すれば、ちゃんと使える。皮の弾力で
力が一点に集中しないから、傷は着かない。
Bウォーターポンププライヤー改造型
100円ショップにあった小型のものを、写真のように改造してみた。あごが短いのでより力が強い
だろうという考え方だ。
作り方はAと同じ。これはばらして削れるので加工は簡単だったが、角度が微妙でなかなか難しかった。
使い心地はAと大差なく、問題なく機能した。
《使用結果》
テストは番町氏から贈られた、「超ジャンクCARENAR」ズームの解体整備と並行して行った。
写真ではわかりにくいが四角の部分が2センチほど曲がっている。
ズームはやたらにレンズが多い。
同時に実験したタクマー55o。こちらはヘリコイドがまわらないほど変形していた。
修復完了。どちらもほとんど問題ないところまでになった。多少固いがフィルターも使えるようになった。
もちろんヘリコイドは実用できる程度になった。
これらの方法は全て有効とわかったので、今後多少曲がったものがきても何とかなると喜んでいる。
大げさなタイトルで、恥ずかしい。単なる筒を加工したに過ぎないのだ。
水銀電池が消えて久しい。当然水銀電池を利用するカメラは何らかの対策がなければ使えない。この場合の
互換性などは、ビュッカーさんの Range-Finderに
詳しく紹介されているので、参考にして欲しい。
今回はHMN-4N電池の代わりに、4LR44を使うアダプター、主にヤシカ・エレクトロ35シリーズ
に使われる大きい電池だ。
材料は灯油ポンプの軸と、電池ボックスから外したスプリング端子だけ。ビュッカーさんのお奨めどおりだ。
違っているのはアルミホイルの代わりにスプリングを仕込んだところだけ。
ダンボールで底板を作り、そこに端子をはさんでホットボンドで接着する。渋い色にしてみた。
そのままだといかにも安っぽいので、薄い皮を貼り、その上に透明シートを重ねた。このアダプターは
JFCの仲間からの依頼なので、まあ恥ずかしくない外見にしたわけだ。
上からLR44の4個用アダプター(実用しているもの)、オリジナルのHM−4N、今回作ったもの。
外形を正確に合わせたので、オリジナルの電池とまったく同寸、何のコツも無く使えるし、がたついて
接触不良もでない。テストしてみたが、結果は良好だった。正確すぎて、出すときに引っかかることがあるが、
その場合は裏ブタを外して対処してもらうのが良いだろう。がたつきの接触不良よりましなので、
これて完成とした。
エレクトロに入れたところ。端子がオフセットしているのは、相手の電極が中心に無いためで、
失敗したわけではない。(蛇足)