スキャナーとデジタルプリント

デジタルプリントの功罪について、どるさんのレポートがあった。私も以前から検証していたので、こちらに転載してまとめてみよう。

まずプリントから


ネガスキャンしたもの。無調整で取り込み、ベースにあわせて色やコントラストを直した。


正直な感想

プリントからのものは色がすっきりしていて、ピントも良く見える。よく見るといわゆる「エッジが立った」という感じだ。最近のデジタルラボの威力で、物の境界がくっきりしているので、ピントが良く見える。カラーバランスも自動的に直っていて、自然な感じがする。しかし、デーライト用のネガカラーの特性は再現していないように思う。今回の撮影は雨が降る直前と、西日で弱い光だったから、このようには見えなかったと思う。ネガからのものはどんよりした空模様や弱い西日を感じさせ、写真としてのできはともかく、記憶に近い色だ。

取り込み後の操作で色や輝度、コントラストは変えられるし、実際に自分で引き伸ばすときにも印画紙の諧調を選び、フィルターワークで色調を直すのだから、レンズの特性はカラーでは判断できないと思う。モノクロで一定条件で引き伸ばせば見えてくるものがあるが、これとて横一線での比較は難しい。良いレンズか否かは、結局使う人の感性で判断するしかないだろう。

もちろん、単純な色特性や収差などは数値化して比較できるが、その結果が良いものが、必ずしも良いレンズとされていない事実は、官能という点で人間が入る余地があるのかな、でもデジタル修正できるのだから、ウエブでの写真は参考に過ぎないのかな、と感じた。

難しいものだ。一概に決め付けることはできない。しかし、デジタルプリントでレンズやフイルムを論じるのは危険だと良くわかった。実際、これらのプリントを扱う店では「リバーサルで無いとわかりませんね」と店員がはっきり言う。つまり、デジタルプリントは補正しまくった姿だと彼らも承知している。
このことから、作品ではなく、レンズやフイルムなどのいろいろなテストという用途にデジタルプリントを使うのはまずい思う。リバーサルか、ネガの直接スキャンがまだましで、それとてスキャナーの基本性能や、ドライバーの出来、スキャン時の設定などで大きく変わる。
いったい何が本当か、考えると頭が痛くなってくる。


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