レンズのお掃除

連続してレンズの清掃をしたので、分解など参考になるかもしれないと、ちょっと記録してみた。
@キヤノンFD50oF1.4



ゴムリングで飾り板を外すと、前群にアクセスできる。前群にはカニ目があるが、きれいな仕事のためにはこれもゴムで廻すと傷がつか無い。



後群は難しい。マウントごと外さないとアクセスできないのだが、マウント締めネジが異常に固く、一本がどうしても緩まない。預かり物なのでこれは撤退した。(レンズの外側の部分には自動絞り関連のリングがあるが、これは絶対に緩めてはならない。細かいベアリングが抜け落ちて地獄を見る。ここは外さないこと・失敗者談)
一応の清掃は完了し、前群の裏の大きなカビはレンズクリーナーで取れた。

Aエレクトロ35CC



前群と、後群に分かれるのは標準的。@と同様、前の飾り板を外し、前群を外す。



本来後群はレンズボードを外す必要があるが、このカメラは電線だらけで、分解が面倒だ。機械的にはまともに作動しているので、後群レンズを裏側から一枚外した。これで残りの一枚の裏まで清掃できる。ただし、このカニ目はきわめて狭いところにあるので、一般のカニ目レンチでは歯が立たない。ごく薄いカニ目回しが必要だ。また、レンズに極めて近いので、下手な道具の使い方はレンズに傷を付けかねない。誰にでもお奨めできる方法ではない。



後群レンズの前は、電池を抜いてからシャッターを切り、その隙間に竹製の筆の柄を押し込み、半ば強引にシャッターを開いたままにして行う。手加減が難しいのと、手早い作業が必要だ。



この作業に使った工具。デバイダー式は自家製特殊鋼のカニ目回し。狭いところで威力を発揮する。

Bニッコール35mmF2



作業はキヤノンとほとんど同じだ。しかし後もユニットになっていて、マウントとまったく関係なく作業できる。この構造はメンテナンスを意識していて好感が持てる。ただし、非常に強いトルクで締め付けてあるので、しっかりしたゴムリングがないとどうにもならない。



これは51oのゴムリング。これで標準系のレンズの分解には事足りる。下の内側はえぐってあるから、レンズに当たる心配はない。固いので力が入れやすい(家具の防振足用)



これの分解に使った工具。口の長いラジオペンチは便利だ。これは安物では使えない。この手のサークリッププライヤーは強力な仕事が出来るのでお奨め工具だ。



向こうがすっきり見えるようになった。

Cニッコール135mmF忘れた




Bと大きさは違うがまったく同様の構造。前群はニスで固められているので、ここの中を分解するにはシンナーなどで溶かす必要がある。ただし、密閉されているのでこの中はなかなかカビが生えることは無い。


これはキヤノンFL28oF3.5の例。前群・後群ともすんなり外れ、それぞれバラバラになるから整備性はきわめて良い。この後の時代のFDレンズはマウント部にギミックがあり、うっかりマウントをバラスと地雷を踏むことになる。


清掃は、富士のレンズクリーナーとクリーニングペーパー、綿棒、シリコンクロスなどを使った。重症のカビならアンモニア水やオキシドール、無水アルコールなどで磨く。今回はそれほどひどいものではなかったので、これらは使わなかった。
組立には、ブロアーで埃を飛ばしてから行うのは言うまでも無いだろう。



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