アイリス



アイリスとは虹彩のこと。レンズの場合は複数の羽根を組み合わせて、人間の目に似た動きをするので、この名前がついた。

最近の小型カメラのレンズの絞りは、ほとんどが5−6枚の羽で構成されている。絞りこんだ時にはこれが災いしてバックのボケにこの絞りの形が出てしまう。
大判用のレンズは焦点距離が比較的長く、口径が大きいので絞り枚数もずっと多い。ブローニー用のレンズでは10枚が普通である。この写真はもっと古いレンズのものだが、14枚ある。これに驚くのはまだ早い、25枚などと言う凄まじいものもある。ここまで来ると正多角形が円に近似すると言うのが良くわかる。当然バックホケは素直な柔らかいものになり、フイルムフォーマットの関係もあるからより描写が際立つのも当然だろう。

ただし、メンテナンスと言う点では最悪の部類だ。各羽根には固定と可動のピンが1本ずつある。14枚絞りだと28ピン、25枚絞りにいたっては50ピンあるわけで、これらを所定の位置に押し込むのはなかなか大変な作業だ。 とは言っても部品一点一点が大きいので、モルトを剥がす作業などに比べれば、やさしいものだと思う。



これはミノルタフレックスの初期型のもの。二眼レフのほとんどはこの10まい絞りである。35o一眼レフと比べ、フォーマットだけでなく、このあたりにも、「描写が柔らかい」という違いがあるのではないだろうか。



手持ちのいろいろな一眼レフ用のレンズを調べてみた。9−7−6−5枚とバラエティに富んでいる。総じて製造年代が古いほど枚数が多い傾向がある。
これらは枚数が多いのと、レンズの評判が完全に一致するわけではないが、枚数の多いものに評判の良い(特に、バックをぼかすポートレートなどでの)ものが多い。
軽々に「絞り枚数が多いほど良いレンズ」などと結論付ける気は無い。しかし、機能を無理に詰め込んで、絞り枚数などにしわ寄せが来ている小型カメラと、結果優先の大型カメラ、どちらが良いかは言うまでもないだろう。従って、事情の許される限り大判を使いたくなるのはお分かりいただけると思う。

一眼レフ用は、見るときには開放し、シャッターレリーズの瞬間だけ絞り込むのだから、軽く丈夫でなくてはならない。ほとんどレンズシャッターと同等の動きを要求される。その結果、使いやすくなったが描写が犠牲になったのではないだろうか。プリセット時代には8枚が普通だったが、現在は5−6枚が主流だ。
一例として、キヤノンのFD50of1.4は数少ない10枚でオート絞りだが、このレンズの描写の評価が高いのは、そんなところにもあるのかもしれない。コシナの古いズームにも8枚絞りがあり、評価が高い。レンズと言うのはいろいろな要素があって難しい。

☆この項は未完成である。なぜならどこにも絞りの違いによる実例が無いからだ。あくまで、感に基づく記述なので、そのうち実写で調べてみたい。それまではこんな考えもある、と読み飛ばしていただきたい。



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