MAMIYA SEKOR90mm



マミヤプレス用のレンズは50oから250oまで、歴史が古いだけにいろいろある。その中でこの90mmはF3.5は地味なレンズだ。初期の型に付けられていたことなどからあまり数がないのに人気もない。これはオークションでほぼスタート価格のまま落札した。ただし、輸出仕様で距離目盛はフィートしかない。



分解はセットリング一本で簡単に出来る。ヘリコイドが分離し、レンズは簡単に手で分解できる。シンクロ接点は外につけている。レンズユニットの基部には厚いワッシャー一枚と薄いのが二枚入っていた。



レンズとシャッター部。シャッターはカバーを外した状態。



セイコーシャSのシャッターは、B.1-1/500秒の倍数系列で、マミヤプレス用としては標準的なものだ。
内部はリング部がセットレバーで一見するとコンパー的だが、黄色く示した軸でシャッターをチャージするプロンター的なもの。セットレバーのスプリングはシャッターの駆動力になっていない。ただし、レリーズするとセットレバーが途中まで戻り、そこでスローガバナーを押して低速を出している。折衷的なもので、特許の関係か定かではないが、整備性が良いのは良いことだ。
絞り羽根とシャッター羽根が油で固まっていたので、ブレーキクリーナーとベンジンで洗浄し、給油してレストア完了した。



このレンズを大判に流用できるかどうかだが、直進ヘリコイドは矢印で示したリングで固定されている。この縁の部分が画角を制限しているようだ。



これはレンズマウント部。まさに単純な穴で、大判レンズ用の0番の穴があるだけだ。まさに部品のアセンブリーで出来上がると言う単純な構造だから、他のレンズを簡単に載せ代えることが出来る。マミヤプレスのレンズはほとんどがこの構造で部品の共用化によるコストダウンが図られているようだ。



完成図。50oに比べてスマートだ。



キヤノンの28oファインダーが大体合う。上下は多少見えないが、大きな支障はない。

《テスト》

大きい景色と近接・開放の2カットをテストしてみた。



予想通り4隅が蹴られる。まあトリミングで使える程度だ。6×12だとほとんどカバーすることがわかる。Tri*-X Pro F16 1/250 シュテックラーにて



ほぼ中央を1200dpiでスキャンし、サイズ変更をせず700ピクセルのスクエアで切り出してみた。ピント合わせがちょっと悪いが、この程度なら使えるだろう。
周辺部で流れがあり、4×5で常用するのは役不足だと思われる。アオリの余地がなく、ケラレを直すことも出来ないからだ。



開放で距離1.5mである。意外なほど良く写っている。



合焦部分を1200dpiで取り込んだもの。これは35oのフイルム面積に近いのだから、解像力は悪くない。弱い光での描写は非常に良いといえるだろう。

結論として、このレンズは6×12用に使いたいと考えている。手持ち目測でも十分使えるのと、ケラレの解消は無理だから、使える範囲で使うのが良いと思う。



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