空回り

最近、サポート用の掲示板を作った。写真が入れられないと、説明がしにくいので、用意したのだ。
最初の質問が、リコーのリコレットのシャッターを開けたいというものだった。私のはシャッターブロックが固まったまま、1/100秒が使えるので、手抜きしてそのままにしていた。相談を受けたのを機会に、自分のカメラを開いて説明しようと思った。



前玉回転式なので、イモネジを緩めて(外してはいけない、緩めるだけ)距離リングを外し、ヘリコイドを緩めようとしたら、まったく動かない。以前に試写したときには、芋ネジが緩んで距離リングが滑っているのに気がつかず、固定のまま写していたのだ。無限遠が今一つすっきりしなかったのはこのせいだとわかった。(チェックが甘かったと反省)

この状態で試写して、判ったつもりになっていたとは恥ずかしい。

ゴムシート(自転車のチューブ)で廻すと、緩んで分解できたのだが、ヘリコイドではなく、中玉ごと外れてしまった。



シャッターリングはドライバーでこじらねばならないほど固着していた。グリスが風化して石鹸のようになっている。これでは動かないはずだ。
ベンジンで古いグリスを取り去り、シリコンスプレーですべりを良くした。シャッターは壊れていなかったので、リングが動くようになれば、速度が変更できるようになった。



ヘリコイドはゴムシートぐらいではまったく動かない。隙間からCRC5−56を入れ、しばらく放置したが、まったく動かない。結局、写真のようにウォーターポンププライヤーとバイスグリップで廻すことになった。もちろんレンズやねじ山はビニールテープで養生したが、道具で挟む部分は滑るので、直接挟んだ。
傷は外から見えないのでそのままにして、清掃とグリスアップで何とか動くようになった。





このカメラは以前にアメリカの業者から買った時に、ほとんどおまけ価格で手に入れた。外観最悪で、「完璧に壊れている」というお墨付きがあった。ずいぶん汚いと思うだろうが、最初はカメラとは思えないレベルだった。全ての機能が回復したので、これで本当に使える良い教材になった。

【教訓】動作チェックはしっかり行うこと


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