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HELIAR 15cm F4.5
フォクトレンダー・ヘリアーは名玉として名高い。その15p4.5は、かつて大判カメラに取り付けられていたようだ。仲間のNEWLONさんからお借りして、その真価を知るべくいろいろ試していた。
ダイアルセットコンパーつきのこのレンズ、大きさも重量もコンパクトカメラ並みか、それ以上である。NEWLONさんからはもう一本ドミナーもお借りした。
これは少し長くて16.5cm、重さも大きさもヘリアーより大きい。形式的には同時代で、レンズ構成も似通っている。あまりの大きさに適切な取り付けがなかなかうまく行かなくて、試写は主にヘリアーで行った。
この時代の大判レンズの絞りは、機能だけでなく形も美しい。まさに円形絞りで枚数を数えるのも面倒なほどである。
クラウングラフィックに取り付けたところ。今のコンパクトな150oとは大違いの迫力だ。ダイアルセットコンパーはサブダイヤルで無条件でタイム・バルブが出るので、ピントグラスでの撮影ではまったく不便はなかった。
《試写》
モノクロは各一枚だけだ。いろいろ写したが、なかなか本調子がつかめなかった。フイルムはトライXプロフェッショナル。
非常に雲が厚い条件だが、なかなか精密な描写で、圧縮前の画像は素晴らしかった。
唯一のドミナーのカット。堂々たる描写で素性の良さがわかる。オーナーの手で真価を発表されるのが楽しみだ。
モノクロはもう少し写しているが、どれも立派なものでコントラストもピントも申し分なく、モノクロなら現代レンズと比べても何の引け目もなかった。
こうなるとカラーではどうなのか興味が湧く。いただいたフォトラマFP100Cをホルダーに入れて写してみた。
三脚ごと風でぶれている。少しオーバーだった。
同じくぶれはあるが、色は深い。
逆光気味でも問題なし。釣り人の背中に合わせたとおりの感じに写せた。
焔の激しさがしっかり出た。立派な発色だ。
露出を控えて、象徴的にしてみた。ちゃんとした仕事をする。
☆80年は経とうかというレンズ、それがこれだけの描写をする。何も無理をしていない昔の大判レンズは今も素晴らしい。ノスタルジアではなく、使える実力が凄いのだ。
NEW+ONさん、高価なレンズを快く長期間お貸しいただきありがとうございました。