. Camera Restore

ダメなジャンク

レストアの基本は「ちょっとした手入れで動くものを直す」だろう。電池の接触とか油切れで遅くなったシャッターに給油するとか、羽根アブラを拭き取ってスムーズにするとかが主だ。 また、ダメな部品を他のこれも壊れた機体からいただいて、一つの動くカメラにする「二個一」や、痛んだシャッター幕を代替部品を作って張り替えるなどの重修理もレストアの醍醐味だ。

これらの対象になるのは使っていて不具合が発生したものや、使わない間に壊れたもので、お金をかけて直すとまともに動く中古が変えるような、ジャンクと呼ばれる壊れたカメラである。すべからくそのままでは使えなければレストア対象である。

いろいろ直してくると、どうにもレストアできないものに出会う。どうにもならない理由がこちらのスキルが低いからという場合は、悔しいがあきらめもつく。不愉快なのは以下のものだ。

《部品が足りない》

誰が手をつけたのかは定かでないが、自然には外れない部品が欠けていることがある。例のカメラはミノルタA5だが、落下品で損傷がひどい。



レンズが前から押されていて、距離計窓が変形してガラスが割れている。鏡筒の根元も浮いていてガタガタだ。



巻き上げノブの取っ手が無い。これはもしかすると外れたのかもしれないと思った。



なんと後玉がない。これが外れることはまったくありえない。周りには道具で傷つけた跡が残っているから、何らかの理由で外してそのままにしてしまったのだろう。



こちらはヤシカ・リンクス5000で、巻き上げノブの下のバネが無い。センターのネジは残っているからこれも外してなくしたのだろう。

《破壊されている》


これもA5だが、なんと裏側からとがったものでつついたらしく、羽根が変形している。たとえ落下品のカメラでもこういう故障はありえない。これは破壊としか言いようが無い。

レストアしていると、ここまでひどくないものでも、ネジが違っている、部品が無い、組みつけが間違っているなどを良く見る。また、無理をして壊したことが歴然としているものもある。
部品が正規の位置に組みつけられていなければ、本来の位置を探すのに非常に手間が掛かる。まして、重要部品が無ければ、組上がるはずも無い。

「ジャンク」「部品取り」としてオークションなどに出すのは勝手だが、いじったのならちゃんと表記すべきだ。直せないものを売りに出したり、部品を取ったカスを出すのは、そのことを伝えない限り、いかがなものか。出品者の良識を疑う。

こういう現象は何台も出品している業者らしき人に多い。仕入れたものがたまたまそうだったというのもあるだろうが、何台かでまともなものを組んで、それらは店頭なり正規ルートに回し、残ったものをいいかげんに組んでオークションで売っていると勘ぐりたくなる。彼らはこの疑問を邪推と言い切れるのだろうか。


ゴミは売るな!



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