. Camera Restore

FED2の整備(軍艦部)

ライカを使ってみて、このタイプのLマウント互換機を思い出し、順次整備を始めた。
FED2はナンマイダー氏にいただいたもので、基本的には調子が良い。インダスターの古典的な描写もなかなか良いし、いろいろなレンズをつけて結構使っている。



バルナックよりファインダーと距離計が一体化しているだけ進んでいて、きちんと整備すれば巻上げも軽く、ウラブタが一体で外れるので、ライカのあの面倒なフイルム装填儀式は必要なく、実に良いカメラだ。



今回のテーマは距離計の調整と軍艦部内の給油・清掃である。
無骨だが強度の高い(したがって重い)ダイキャストの上にはこれだけしか部品が乗っていない。ここまで分解するには、

巻き戻しノブを引き上げ根元のロックネジを緩めてリングとともに引き抜き、アクセサリーシューを外し、シャッター切り替えリングの芋ネジを二本緩めて抜き(巻上げ時に1/100秒位置とし、シャッターを切っておく・こうすると巻き上げていない時点で1/50を指すので、それを目安に組み立てると良い)
シャッターボタンの根元のリングの芋ネジを緩めて左に回して取り、巻き上げノブの芋ネジを緩めて左に回して外し、上1本前2本のネジを外し、接眼レンズと距離計窓はカバーを外し外側のかに目で外す。
書くと面倒だが慣れれば5分でここまでにいたる。非常に分解の容易い良い構造だ。



白が左右像の調整部で、レンズの動きをカムで伝えている。この接点は磨耗が考えられるのでグリスアップする。黄色は距離計の反射用プリズム。万一ここが曇ったら表面鏡に置き換え可能だろう。



こちらは接眼部。左のレバーは視度調整用で、中央のレンズを前後させて視度に合わせるが、バネが強すぎて戻りやすい。ここに木の砕片を入れて自分の視度にほぼ合わせた。不要になれば簡単に取り出せるので改造ではない。
視野と二重像を得るのはこれもブロックのプリズムと豪華版。しかし余り透明度が高くないから、これもハーフミラーに置き換えるとより明るくなるだろう。ただし元々の構造ではないからミラーを倒れ無しで固定するのは口で言うほど楽ではない。



左右像の調整方法を示す。ここのネジはカバーで、中央の穴から細いドライバーで簡単に調整できる。



二重像の調整は軍艦部を乗せた状態で行う。つまり調整に軍艦部脱着の必要が無い。
対物レンズ根元の内側のかに目は軽く動き、これが上下像を直す。簡単だがぴったりにするのはなかなか面倒だ。この調整方法はキヤノンやミノルタなど独自路線のものには通じないが、バルナックコピーでは多くのものがこの方法で距離計調節できる。磨耗やがたなどで狂いやすい距離計機では、簡単確実な調整は必須だろう。
ここで注意すべきはまず上下を合わせ、次に左右をあわせる必要がある。逆だと二度手間になりやすい。できればバルブでピント面の画像を確認したいところだ。



前から見たところ。多少の違いはあれどバルナックコピーでは似たようなもの。簡単で確実な動作はこのシンプルさがもたらすのかもしれない。ただし、横走りのフォーカルプレーンシャッターは、ゴム引き絹幕の劣化があり、油切れとこの劣化が大敵である。その点さえクリアーすれば、FEDは気楽に使える点で非常に良いカメラだと思う。



おまけの内部。このままで巻上げ関係のグリスアップなどが可能なのは良いが、同時にほこりが入りやすいと言う意味もある。フイルムが入っていても、指で軽く巻上げできる程度に常に整備しておくことが大事だ。油切れさえ起こさなければ実にタフなカメラだから。(ぶつけてこれに勝てるのは、アルミの塊のマーキュリーUくらいしか考え付かない・笑)



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