. Camera Restore

Tectronix C-9 FILM CAMERA



この不思議な箱はこれでもカメラである。インスタントフイルム専用の特殊カメラだ。



ちゃんとフイルムカメラと書いてある・笑

テクトロニクスは電子計測機器のトップメーカーの一つで、カメラに関すれば製造現場で活躍する機器を作るメーカーである。
それではこれが何かと言うと、オシロスコープ(シンクロスコープ)専用の撮影装置なのだ。



左側にはレリーズの受けがある。それ以外は右と上にしかコントロールがない。距離あわせも存在しないし、絞りも持っていない。



前後に分解可能で、右が本体で左がライトボックスになっている。ライトボックスには可変フラッシュが組み込まれていて、シャッターに連動する。接続時には本体から電源を供給する仕組みだ。



バック部にはFP100シリーズ対応の部分があり、その奥になんと8本の単三電池を組み込んでいる。電池ボックスはマジックテープで止められ、場所は自由なので、いい加減にすると電池ボックスで蹴られてしまう。反射防止など考えてもいない構造だが、まあいいか・・



ここにフラッシュが組み込まれている。CRTを撮影するにはフラッシュは不要なので、おそらくは文献複写用とだと思うが、400のポラでも光が不足する。ボックス内にアルミホイルを張り巡らし、最大にしてやっと写る程度とお粗末だが、経年変化で弱っているのだろう。
シャッターは完全電気制御で、0.1−5秒である。レンズ面から焦点面まで105o、フランジバックは正確ではないが100mm程度、レトロフォーカスではない。と言うより単玉に見える。倍率は2/3といったところなので、レンズは50−60mm、F16-22と言う感じだ。ベローズファクターがあるので正確ではないが、これのスペックをまじめに知りたい方はいないだろう。お暇な人は計算するのも一興か。

オークションで面白そうなので安く入れたらそのまま落ちてしまった。まさかと思いつつも、手に入れた以上飾りではなくて写さねばなるまい。幸い、テスト用のポラがある。

《試写》

まずはモノクロでテーブルフォトをやってみた。フジのFP400BWである。



モニターに自分のページを出して写してみた。そこそこ出ている。しかしそれほどピントが良いものではない。2−3秒と言うのが適正だった。



文献複写では反射用の白い紙を入れてぎりぎり出る程度。ピントはあまり良くない。



机上でいろいろ写してみた。我慢できる範囲で前に1センチ、後に2センチくらいが実用になるピント範囲だ。レンズの撮影ではフラッシュだけでは足りず、ペンライトで照らしながら2秒でバックと揃った。その他はフラッシュと室内光の併用。



動くものに挑戦、やっと一枚写った。ただし、スローシンクロになってしまった。



干し柿。風でのわずかなぶれもボケになる。カラーはFP100Cにて、もちろん三脚併用。



スキャナの色が悪いだけで、現物はもっときれいだ。



寝ている猫を至近距離から狙う。それでもピントは難しい。もちろんフラッシュユニットは外し、ワリバシでピント長さを用意して撮影に望んでいる。



今年最後のトマト。もう寒くて赤くなるまで育つことはないだろう。

☆このカメラにとって、初めての被写体、初めてのフィールド撮影か。やったことに意義があるが、それ以上の応用は私の頭では無理だ。いいところ改造ベースかな。

まあたまにはこういうカメラ遊びも楽しい。と言うことにしておこう。



戻る