. Camera Restore

銀塩衰退とリバーサル自家現像



昨年の銀塩カメラの総販売台数は8500台とか、一機種で年間に数万売れた時代は昔話になってしまった。

銀塩フイルムを捨てずにがんばる身にとって、フイルムを取り巻く環境悪化は身に染みる。コニカミノルタの全面撤退、イルフォードやアグファの消滅(それぞれ別ルートで細々続いているが)、富士のフイルムや処理薬剤の大整理と環境は冷えるばかりだ。



それでも現像さえできれば、引き延ばしせずともモニターで見られるし、プリンターの性能が飛躍的に上がっているから、コストを無視すれば、紙焼きも代替手段がある。

モノクロは元々自家現像だが、ネガカラー、できればリバーサルまで自家処理したいというのは自然の流れだろう。ネガカラーはキットが市販されていてそれほど敷居は高くない。問題はリバーサルだ。

ここで、我らが仲間に救世主登場である。SCRさんがその福音を授ける人だ。
これがとんでもなくハイレベルで、ネガカラーは勿論、リバーサルまで自家処方を開発し、物にしてしまったのだ。発表されている処方そのままではなく、原理から推論して薬剤を置き換え、立派な結果を出しているから凄い。



これがSCRE−6である。と言っても私は送られた薬剤を溶解しただけだが。
左から第一現像、発色現像、漂白定着でリバーサル用だ。



タンクはステンレスで2本用を使う。針金で自由にリールを釣れるようにすると水洗などに便利だ。

詳しい解説はSCRさんのところで確認!

リバーサルの手順は下記の通り。

前浴・第一現像・水洗・副露光(光に曝す)・発色現像・水洗・漂白定着・水洗・水滴斑防止処理・乾燥

SCRさんによれば、何より第一現像が大事で、この処理温度と時間が結果に大きく影響を及ぼすそうだ。また、水洗は処理温度(38度)に近い温湯でないと安定処理できない。

時間を守るのは簡単だが、温度はなかなか難しい。大きいバット類に少し高めで数リットル用意し、水温計を複数使って差が少なくなるように努めたい。
レクチャーに従い、時間はストップウオッチ、40度の湯は大量に準備して実行してみた。

副露光は太陽光か蛍光灯などで満遍なく光を与えるだけで、特別のコツはない。第一現像以後は明室処理なので、次第に変わるフイルム状態がわかる。少なくとも絵が出たことはすぐ確認できるので、意外に不安は少ないが、周りが黒いフイルムと言うのはネガ現像では見ないので、最初は状態が確認しにくい。



カメラはリコー・キャディ、フイルムはコダックのエリート100で、露出は全てカン
(パーフォレーション付近のオレンジは切り現像で使ったパトローネの光漏れ)

色のコントロールは発色現像のPhで、シアン・マゼンタ傾向のコントロールができるそうである。(Phが高いほど温調になる)今回は新液なので標準を守った。







初めてにしては立派に出たと自画自賛しておこう。でもえらいのはこのデータを作った人である。

☆評価はいろいろあるだろうが、私としてはこの程度に現像できればラボ無しでも困らない。写真にしか使わない薬を確保すれば、その他は薬局などで入手可能だ。
モノクロ現像ができるなら少し気を使えばできる。地方ではラボ処理が遅いから、自家処理は待たずに結果が見られるのもありがたい。

SCRさんのことを、今後は「師匠」と呼ぶことにしよう・・・本気で



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