. Camera Restore

多枚数絞りの整備


 オールドレンズは絞りの羽根が多い。非常に美しく、ボケがきれいになると期待してしまう。実際にはボケに大きな差は無いが、オールドレンズの造りの良さを感じる部分だ。特にバレルレンズには20枚を越えるものさえある。これが外れるとせっかくの円形絞りが狂ってしまう。外れるのはほとんどが油が羽根についたからで、スムーズに動かないものは遠からず外れる。もしくはピンが飛んで修復が困難になる。早めの分解清掃で直るのでやりがいがある作業だ。



 典型的な例。これでも一先ず写せるが、使ううちに羽根が変形したりピンが飛ぶ。完全に分解して油を拭取り、ドライ順渇する。



 これでも16枚だから楽な方だ。もっとも、羽根の枚数は難しさに関わらない。何枚あろうと羽根を清掃して組み直すだけだ。丁寧さと根気が要る作業だが。



 このように開放時の形で組むのが良い。ほとんどのものが右回りに組み付けられているから、一枚乗せたら次は右周りに乗せてゆく。最後の何枚かはピン穴が見えなくなるので、間に差し込んで少しずつ動かして正しい位置にはめ込む。



 絞りリングと連動するピン位置を確認しながら回転移動するリングを組み付ける。絞りの指標との位置関係を良く見ないと動作しなくなるので注意。この時、全てのピンが揃って入るまで油断してはならない。あせりは禁物。



 押さえリングでロックして完了。この時にラフな作業をすると振動で簡単に外れてしまう。静かにゆっくり確実な作業をしよう。精神統一の良い訓練になる(かも知れない・笑)下に写っているのは羽位置の微調整に使う自作ツール。これが無くても組めるが、あれば作業が楽になる。

 連動用のピンが正しい位置にあるか確認すること。ほとんどの機種で絞りリングを通して連動ピンを入れることで絞りが動作する。従って、絞りリングの位置が開放の時にピンを入れられるように回転リングを位置を合わすのがコツだろうか。分解時に良く構造を確認するのは絶対条件だ。



 これぞ円形絞り。小型カメラのレンズが大判レンズに及ばないことを実感する姿だ。


  June 2012


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