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カニ目廻し(カニ目レンチ)(再)


私のサイトに検索で来る方のキーワードに「カニ目廻し」又は「カニ目レンチ」という単語が多い。Tipsの最初の 方で述べているが、もう少し私見を入れてわかりやすく書こうと再報告する。

《カニ目とは》

 いわゆるクラカメはほとんどがマイナスネジと六角でないナット、それにカニ目で組みつけられている。カニ目と一口に 言うが、大別すると(A)リング状のものにスリワリを入れたタイプ、(B)平らな頭に二つの小さな穴を開けたタイプがある。

@Aの例(レンズ前周り)



 レンズの前周りのセットリング。フィルターネジを利用して止めるタイプ。幅が狭く周りを傷つけやすい。道具がすべると レンズが危険なので気を使うところ。



 ここには大きなトルクは必要ないのでこの手のロングノーズ・ラジオペンチを使う。材質が硬く強いものが必要なので、この ツールは安物はお勧めしない。最低でも1500円以上のものを先端を狭いマイナスに加工して用いている。

AAの例(フイルム室側)



 フイルム室側からレンズバレルを固定する部分。深くて作業しにくいのと、締め付けが硬くて緩みにくいものが多い。 蛇腹カメラではスペースが狭くてツールが当たってしまう場合あり。二眼レフと蛇腹カメラではほとんどがこの構造。35o カメラでもこの構造が多い。こちらは深さはさほどでもないが、手前に反射防止のガードがあってそのままではツールが 入らなかったりすることが頻出する。

 ここはツールで廻らないときは無理をせず、CRCなどをネジ部のみに少しつけて しばらく放置し、浸透してから作業すると良い。緩んだらCRCは必ずしっかり拭き取る。(CRCをつける時は他の器に 噴射し、それを細い針金などで必要部にのみつけること。直接噴射すると100%レンズにかかり、大変なことになる)



 深いところはこのツールを使うことが多い。開口はそれほど無いが、先端を薄くし、角をしっかりさせているので滑りにくい。 ただし、先端は非常に薄いので無理をすると変形する。どの程度の力を入れると先端が傷むか理解して使うべき。@ノツール で少しずつ廻す場合、強力なツールにきついところだけを受け持たせるなど臨機応変が必要。

BBの例(巻き上げ部)



 巻上げ部がこのようなものは結構多い。ここはカニ目ツールは最後の手段と思うべし。ゴムツールなどフリクションで 廻すのが本道だ。なぜならこのタイプはツールが外れて傷つきやすく、その傷が非常に目立つからである。滑らなくても カニ目に傷がつくことが多い。ゴムで廻せないときはくわえられるならゴムで養生してペンチ類で廻すと良い。 カニ目廻しはあくまで最後の手段。

CBの例(その他)



 左側はたまにあるタイプ。これもBと同様のゴム処理が望ましい。右側は巻き上げノブ、巻き戻しノブなどの下に隠れて軍艦部を 固定するナットに見られる。径が狭く廻しにくいのでここまでに紹介したタイプより、普通のラジオペンチの先端をマイナスに 加工したものが力を入れやすくて使いやすいだろう。



 100円ショップのラジオペンチを改造した。肉厚なので単純な力技には都合が良い。ただし、開き方が狭いので大口径の 作業には向かない。



 自作のマイナスタイプ用。ナイフ用の特殊鋼で先端部のみ焼入れした。撓うが強く、位置に固定してペンチで挟んで廻す などの力技に使う。(陶芸のパスからヒントを得た)

D市販多機能ツール



 これは以前にも紹介しているが、実は意外に使っていない。 理由は質が悪いからではなく、使う都度調整するのが面倒なのと、深いところの作業ではしなりがどうしても出るから。ただし、 預かり物など失敗が許されない時はこれを主体にしている。(先端はいろいろあり)

 ネットオークションで手に入れたものだが、カメラ分解がよくわかった人のつくりなのでよく出来ている。 類似品で、とても使えないヘナチョコがあるので探すときはご注意を。

☆これらの道具があれば作業が簡単かと言えば、それだけでは無理だ。工具は使う人の知識と技術を反映する。(自戒)


  February 2013


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