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低温現像


最近、モノクロフイルムは低温現像を基本にしている。特に120以上のフイルムは全てこの方法による。

《例はフジGS645W Prestoによる20℃現像のもの。多少は補修しているが空に縦のムラがある》



 低温現像のメリットは粒状性の改善が一般的だが、それより120フイルムに出やすい「空のムラ」を防ぐことが私には 最大の目的だ。120フイルムで粒状性が問題になることは少ない。また、多少の軟調効果があり、暗いところのディテールがつぶれ にくく、焼きこみやフォトショップ処理をほとんど必要としなくなる。

 副次的に微粒子効果が期待されるが、現代のフイルムは高温でも荒れは極少なく、昔のコンポラ風はやりにくい。 25度程度までなら実質的な差は無いから、135フイルムでは「出たとこ勝負」で常温貯蔵の現像液の温度そのままに、 時間でコントロールしている。

《手法》

 12−14度程度に現像液を冷やし、時間延長するのみ。攪拌は最初の多少の気泡抜きと、途中で気分で一、二回転倒するのみ。 使っているのはLPLのステンレスタンクで、ごく一般的なもの。温度維持は、夏は氷水を張ったバット、冬は温湯を入れて いるが、室温がよほど低くない限り冬はほとんど管理しない。

《実データの一部》

 以下は全てフジのスーパープロドール(SPD)を鰻のタレ方式で使いまわしているもので、新液と比べると現像力が低い から、追試される方は適宜調整されると良いだろう。ここに記載したフイルムや現像薬以外の結果はもちろん保証できない。

アクロス

12℃ 17分 ほぼ良し 120
12℃ 20分 濃いが使える 120

13℃ 14分 少し薄い。絞り+1が良いか(200設定-100できちんと写すべし)135
13.0 17分 少し薄い ネガ濃度は上がらず。増感は無理 120
13.6 17分 少し薄い 現像液の疲労と推定 120
13.6 14分 ほぼ良し 120

16.0 12分 適正 120

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ブレスト

11℃ 25分 オーバー(ハイライト潰れ)120

13℃ 14分 ほぼ良し 120
13℃ 24分 ほぼ良し 120 (ボックステンゴール用に増感・一段程度)
 
☆13.0℃で15分前後が基準と推定。1℃で2−3分調節する。特性は完全な比例ではないので、各自のデータ作りが大事だ。低い温度 の場合、時間が数分違っても大きな差は無い。それぞれ焼けるネガになる。(よって、薬剤注入時のムラは無視できる)

 アクロスの増感はほぼ無理、ブレストなら一段は可能。記載していないが、フジSS(135)、コダックTX400(120)、ラッキー100 (135)もほぼ同様の設定で使えるネガになった。

 温度特性は必ずしも温度と時間が比例しない。光に対するネガ濃度の相反則不軌と似ている。というより、温度を絶対温度で 考えねば数式化は無理だろう。経験則で自分の時間を作るのがアマチュア向きだ。


 

Belfoca 2 Presto



KCW 38 TX400

May 2013


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