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PANASONIC LUMIX DMC-G1



デジタルカメラの報告は二回目かな。畏れ多くもプー博士より拝領したので報告せねばならぬ。



 パナソニックのG1(Panasonic Lumix DMC-G1)はマイクロフォーサーズ規格の第一号の一台だ。APS-Cより一回り 小さい規格のフォーサーズのフランジバックを短くし、コンパクト化とアダプターによって各種レンズを使えるように した規格だ。以後、シリーズ化されてOVFを積まないタイプの発売や、動画撮影の採用と強化、速写に対応などと発展 している。いわゆる「ミラーレス(一眼)」である。(一眼にカッコを付けているのは、ほとんどのカメラのレンズは 一つだから、一眼は一眼レフのみに使うべしと考えるから)

 へこみボードで16oシネカメラのレンズまで使えるほどフランジバックが短い。古今の交換レンズのほとんどが アダプターを併用することで使える。フォーサーズレンズは連動アダプターでオートで使える。単純アダプター式では 絞り優先でフォーカスエイドつきになる。(オリンパスの新ペンシリーズがこの手のカメラでは一番使われている ようだ)

 フランジバックを短くした影響で、当然ながらミラーを組み込む事はできない。撮影画面はモニターかOVF (オプチカルビューファインダー)で行う必要がある。OVFは視度調整を備えていて、明るい場所でも十分使える。 ただし、撮影後に画面が止まる(メディア書き込み中)のはいただけない。



 一眼レフ的だが、はるかに小さい。35o距離形式カメラに近い大きさと重さなので、私には違和感はない。



 グリップは自然でホールドは縦横とも悪くない。



 左側にはUSB端子やフラッシュ、ピント合わせのコントロールなどがある。



 モード切替は大きいノブ、電源スイッチはレバーなど、フイルムカメラに慣れた私には好感度が高い。モード切替 ノブが簡単に廻ってしまうのは使いにくいのでロックが欲しい。



 バックモニターは大きく見やすい。裏返しにしたり自由に動くので、ローアングルなどには便利だ。



 底面はバッテリー部のみ。三脚ネジ穴がレンズの真後ろにあるのは良い。三脚に据えたときに自然に使える。





 拝領した時はツァイスのコンタックス用ビオゴン28o(56mm相等)がついていた。マニュアルモードでピンを合わせる アダプターがついているのでマニュアルで使える。ただしあまり廻し良いものではない。本来はボディー側からモー ターで廻すオートフォーカスレンズなので仕方ない。





標準系のズームを探したが、マイクロフォーサーズのものは中古はあまり出ていなくて高い。フォーサーズ レンズは連動マウントならばほとんど制約無く使えると知り、オリンパスの14-42mm 1:3.5-5.6 ED という レンズを手に入れた。マウントアダプターは中国の互換品にした。安いが2週間近く待たされた。





 香港から届いたアダプター、説明書は英語で特に問題ないが、箱にはm4/3レンズを4/3ボディーに付けたるための アダプターと書いてある。理論的には可能だが、無限遠など絶対に無理で、ごく近いところ専用の接写レンズとして しか使えない。完璧な誤植で、さすが中華品質と妙に感心した。



 きちんとフィットして、オートフォーカスなどの連動に問題なし。35o換算で28-84oだ。これで普通の撮影には 全く支障が無い。


《試写》

◎ビオゴンにて。感度設定はオートでJPGのスーパーファイン



プー博士のテスト撮影。サイズ変更で劣化しているが、現物はすっきりきれいに抜けている。



机の前の風景。開放だが立派なもの。



 動きが速く暗いのでピン合わせは置きピン。距離はカンで調整。



 複写してみた。置きピン手持ちだがきちんと出た。これなら三脚できちんと写せば文献複写もできる。



 部屋の窓のボロ網戸越し、かつ曇天という過酷な条件だが遠景にピンが出た。オートフォーカスだと無理だから マニュアル向き被写体。



 無限遠はちょっと弱いか。もう少し絞るべきだった。

◎ズイコーズームにて。感度とホワイトバランスとフォーカスはオート、出力はJPGのスーパーファイン。 モードはA固定



 室内、暗い条件で動くもの



 怪しいキノコのクローズアップ



 いつものバイク屋。輝度範囲が大きく、雨に濡れた地面の表現を見る



 このカットのみ三脚併用で最低感度(ISO100)にしてみた



 感度を1600にして、軽く流し撮り式に動かしながら狙ってみた



 その細部。リサイズせずに切り出し

☆私にとって、デジタルカメラに望むのはレストア記録の撮影と孫の生態撮影その他ちょっとした記録用である。 レストア記録には近距離で良いピントと被写界深度の深さが求められる。このためには完全に絞り優先でバックモニター でもきちんとピンが見えるのが望ましい。ビオゴンはその用途に使いやすい。また、5メートルくらいに距離を固定して 速写するのに適している。

 ズイコーは期待通り生真面目で周辺まで破綻しない性能がある。70年代後半から80年代にズームレンズが台頭して きたころの、「ズームの画質は単レンズに劣る」は私が使う範囲のサイズでは当てはまらない。レンズとボディー側の ソフトの共同作業で、如何様にも出力できるのだから。

 このカメラは各種のアダプターが出ていて、過去のカメラ用のレンズのほとんどを使える。絞りリングがないレンズ には絞りを追加するアダプターさえあるから、レンズ遊びにはキヤノンのNEXと並ぶ存在だ。


☆もっとも、私はこのレンズ遊びには賛成しない。カメラとはレンズとボディーのセットで考えるべき、本来の画角と メディア(フイルムか感光素子か、など)で使うべきと言うそもそも論もあるが、何より「デジタルで使っても本質は わからない」というのが理由だ。

 カメラの中の小人(メーカーが組んだアルゴリズム・描画エンジンとも言う)があんな事やこんな事をやって、 とにかくきれいにしてしまうのだから、欠点と一緒に特徴も消えてしまう。「〜〜のレンズ使用」と断らねば わからない。

 もちろん、元のピントが甘いレンズや周辺歪みが多いレンズなどが、完全に補正されるわけでは無いが、 少なくとも、元のカメラで写すのとは違う画像になる。そんな面倒をするより、安いセットレンズで十分使える。

 クラシックレンズは本来のカメラで使えば良い。もちろんレンズだけでボディーが無いとか、特殊な使い方(接写など) に便利なので、マウントアダプターを全否定するものではない。


 ありがとうございました。大いに実用させていただきます>プー博士


September 2014


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