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「APSフイルム一眼レフのすべて」
ツイッターTLの常連、K.I.M氏の今回の作品はAPSカメラ、それもその一眼レフで市販されたものを全種類揃え、作例と共に
各機種の紹介をしている。
APSとはアドバンスト・フォト・システム、訳して先進写真機構である。20世紀の最後の新企画として華々しく登場
したが、10年を待たずして市場から消え、フイルムの供給も終わってしまった「終わったシステム」とも言われている。
筆者は昨年後半にこのAPSを使ってみようと決意し、一気に情報収集とカメラ集め、試写と中間報告をされていた。
これらの中間報告で私が「食わず嫌い」である事を痛感させられたのである。素晴しい雪景色、夜景を見せ付けられたのだ。
APSはもともと35oフイルムの「巻戻し」「途中交換は原則的に無理(マガジン交換式はあるが実用に至らず)」「各カットの
情報が残しにくい」という欠点を改善し、フイルムを電子メディアに近い形で使おうというもの。く規格的には35oより
一回り小さいフォーマットで、必要十分な記録が出来る。
何故消えたかを考察すると、私自身の感覚では次に集約される。「高い」「フイルムの自由度が低い」だ。価格的に
こなれた35oより割高で、APSが発表された頃にDPでサムネールによる撮影結果一覧が実用になると、APSでなくとも
結果を見るのに困る事は無い。
フイルムについて、私にとっての致命傷はモノクロが存在しなかったことだ。より決定的なのは、
自分で長巻から巻き込んで用意できないこと。(幅が合わない上、電子情報を書き込めなければ検出されないから実質的に
自力では作れない)
消えるべくして消えたとも言えるAPSではあるが、写真機としての性能は高い。全国に散らばった期限切れフイルムを
かき集め、仲間の協力を得て困難を克服して見事に報告を完成している。また、試作はされたらしいが、ついに販売は
おろか存在の発表さえなかったペンタックスの製品について、わずかな情報から復元図を描くという夢まで筆者は
実現している
掲載されているのは一眼レフタイプ全8機種と、ペンタックスの幻カメラ、それにミノルタの専用レンズの解説である。
ニコンやキヤノンは既往のマウントを共有するので、現在市販・市場によくある中古レンズの多くがそのまま使える。
APS-C系のレンズも完全対応だから、フイルムと現像所(扱えるDP店)を確保すれば一眼レフタイプでもレンズなどで
困る事は無い。本編では掲載されていないが、レンズ非交換のファミリータイプはきちんと動くものがフイルムが
ないだけの理由で捨て値(例外あり)で転がっているから経験してみるのも楽しいだろう。
☆本書は下記にて通販の紹介がされているので、興味がある方は照会されたい。ただし現在は好評売り切れなので、
近日にご案内があると思う。
*ところで私のAPS食わず嫌いはまだ直っていない。だってモノクロが無いから・・・
☆K.I.M氏、次はあれですね、期待しています
August 2017