YASHICA Half14>


前回のF1.7に続いて、ハーフでは一番明るいF1.4を装備するヤシカハーフ14である。

これもエレクトロシリーズに似た光るメッキを多用したオートカメラで、F17との違いは、レンズの他に、露出計がCdsとなった程度である。異様に太い鏡胴は、いかにも高性能のチューンナップバージョンと言いたげだ。

仲間のHIROさんからいただいた。外観は良好、内部は絞りがある程度以上開かないというもので、レンズはきれいだ。



シャッターの機械的な異常は無い。しかし、オートでは暗くしても絞られたままである。良く観察すると、1/30秒固定になるフラッシュモードでは裏側から見れば絞りがちゃんと作動して・・・ここで本当の症状がわかった。

ほとんど同じと書いたが、F17と異なり、シャッターの他に独立した絞りを持っているのだ。この絞りはフラッシュモードの時のみ作用し、オート撮影では全開して、シャッターが絞りを兼用するという凝ったというか、間抜けな仕様である。
これはシャッターの構造がプログラムオート専用で、羽根の開き加減でシャッター速度と絞りがワンセットで決まる(というより、ある明るさには一定の絞りとシャッター速度の組み合わせしかない)構造なのだ。

もう少し観察すると、オートモードで電池を抜くと、光が非常に足りない形になって、シャッターは1/30秒になるはずなのに、ほとんど変わらないのだ。
この症状は、露出計の針を押さえるタイプでは、針が動いていないことを示す。



この時点では針は引っ掛かりがあり、時々動くことがわかっただけだった。どうにもなら無いと考え、放り出したくなったが、電池を抜いて針を手で戻し、フラッシュモードで写すことを考えた。この時の絞りは手動なので、感度が低いフイルムなら実用可能、それ以上明るければNDを入れれば良い、と言う事で1/30秒だけで試写に出た。





《最初の試写》

以下は手持ちの中国フイルム、上海100(サムスルさんより)にて。









低速の代わりに一杯絞り込まれているので、そこそこは写る。使えなくも無いがスナップ用には???だ。スナップできないハーフは意味が無い気がする。

そこで「針を固定する」という技に出た。幸い(?)引っかかりで戻りにくいので、積極的にオートモードにし、手で針を動かして露出を選べば使える。
軍艦部のネジを外し、フラッシュの線を切って、何時でも開けられるようにして二回目の試写に望んだ。途中数回蓋を開けて変更した。(こんな使い方は誰でもやる方法ではないし決して真似しないでいただきたい、簡単に壊す元だから)

《本当の試写》







やっとこのカメラの本当の描写に近くなった。フイルムはイルフォードFP4+だ。さして微粒子では無いフイルムだが、そこそこ出ている。ただ、14に対するアドバンテージは今回の試写ではわからない。アクロスなら十分実力を発揮する描写力であるのは確かだ。

《以後》

軍艦部を外しながらの撮のは面倒なので、もう一度露出計を点検した。




この露出計の上の外側の日本のネジを外すと、カバーが外れる。今回もう一度開けてみると、何か引っかかっている。苦労して取り出したのはどこに使うかわからないごく小さなワッシャーだった。

このワッシャーが内部に隠れて針の動きを邪魔していたのだ。これを外すと針は動き出した。テスターの作動確認ではすっきり振り切るから、これで全て解決と思った。

確かに一応作動するが、どうも露出がおかしい。ひどくアンダーを示す。露出計の針があまり振れていない。しばらくすると電池が熱くなり、電圧を測ると0.5ボルト出ていない空っぽ状態だ。回路のどこかでリークしていて、電圧降下で針が振れていないのだ。

根気が切れた。一応制限の無い状態で試写できたし、結果は飛びつくほどのものでも無い。ということで、レストアはここまでとした。

JFCの会員にわれこそは治すという方があれば、すぐに廻そうと思っている。

続編を書きました(2010/08)完全品の報告はこちらです。


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