Busch PRESSMAN Model C

この記事はP300だ。初期には数台まとめて1リポートとしていたから、実質では350台くらいだが、300ページとは我ながらずいぶんいろいろなカメラに触った(破壊した)と感慨深い。

2001年に始めた報告は、今では年間数台程度だが、ピーク時には毎週一台をノルマの如くレポートし続けた。細かいモデルチェンジはあまり細かく追わないようにしたこと、視力が落ちて細かい作業が困難になったことなどから、このところレストアは控えている。
軽い作業以外はもう無理だと思う。カメラが大量に手元あり、写す道具には事欠かないから特に不満はない。私のレストアは写す道具を得るためにあったのだから、今後も機能維持程度の整備はする。もちろん、レストアには不遇な扱いをされているカメラの救出と言う側面もあるが、それは若い世代に引き継ごうと思う。



このブッシュは、ずいぶん前に610さんから拝領した部品と一緒に舞い込んでいた。
乾板の仕様で、使いたければ120フイルムマガジンを改造して取り付ける必要があり、今回やっと日の目を見る事になったのだ。



機械的に壊れた部分はない。シャッターの動きが重いので、一応開けて見る事にした。




コダックのエクター101mmF:4.5、薄い単層コートの美しいレンズだ。コダックがエクターと名づけたレンズはどれも評判が良い。大判用のコマーシャルエクターは今も高価で取引されているし、シグネット35など小型カメラ用も高い評価を受けているから、このカメラの最大の魅力である。
レンズボードはネジ止めされている。その気があればレンズを交換してカラート・レンジファインダーを調整すれば連動するが、これがなかなか大変な作業で、出先で交換するなど考えられない(カバーを外してピングラで遠距離・中距離・近距離をレンズに合わせて調整する必要がある)実質的にこのレンズ専用カメラとするか、好みのレンズと換装してそのレンズ専用にするかだろう。もちろん、三脚とピングラを使って写すのなら話は別で、90-150mm程度が使える。
アオリはベッドダウン・ティルト・シフトと一般的だが、スイングはできない。本体側のレールは動かないので、あまり短いレンズは対応しない。

私はあくまで手持ちのプレスカメラとして使いたいので、いつでも原形に復帰できるような方法を目指した。




前群は捻れば簡単に外れる。カバーを外すまでも無くどこかで見たような内部構造のシャッターが現れた。以前にレストアした35RFとほぼ同じシャッターだ。面倒なのでこのまま給油した。ついでにシャッター羽根や絞り、レンズを清掃した。




裏は簡単に脱着できるピントグラスがあり、名刺判のホルダーをスプリングで押さえる構造だ。中にメーカーのロゴと名前などが書かれている。



ピングラを外してホースマンのホルダーを接着した。開口部は69にぴったりで、特に改造を必要としないから、平面性に注意しながらセメダインX(シリコン系接着剤・遮光を兼ねて黒を使った)で止めた。外す時はヒキブタ側からドライバーでこじれば外れる。普通の使用ではネジ止めしなくても使える強度が出た。



なぜか後枠の内部のネジが無く、外れてしまうのでこれも接着。蛇腹の外なので遮光の不安はないから問題なし。



各部を清掃していて距離指標に気がついた。ベッドとレールに同じ数字があり、これが重なったところが距離として読み取れると言う仕掛けだ。凝っていてデザイン的には面白いが、単純な指標より使いにくい。













☆65oを手に入れたので、こちらにそのファインダー製作記を載せた

《試写》

テストにはコダックTX400を使った。あいにくの雨の中、とにかく一通りの距離で使ってみた。
全ていつも行くスーパーの駐車場で、車に乗ったまま窓を開けて撮影した。





車の中からピントテスト。わずかに前ピンか。下部に現像ムラあり



ピントと画質確認(絞りはほぼ開放の5.6)



前後のボケと立体感の確認

☆降りて写すどころか、車の窓を開けるのもピン合わせしてから一瞬だけと言う悪条件だが、きちんとした画像が得られた。何の後処理(アンシャープなど)もしていなくてこれなら文句はない。やはり素晴らしいレンズだと思う。晴れた日の結果はこれからいろいろ写し、私の日々の写真を掲載しているつれづれ写真帖に掲載する予定だ。
カメラとしての使いやすさはこの手のプレスカメラ(スピグラ・ホースマンなど)とほぼ同じで、特別なことはない。写したら即フイルムむ巻上げ、ピン合わせする時にシャッターチャージ、ヒキブタを忘れないなどのお約束に慣れていれば、全く問題なく使える。重量はホースマンよりわずかに軽いが、一般的な意味で軽いとはいえない。そのおかげで手ブレには強そうだ。

☆610さん、報告がとても遅れました。とても良いカメラ・レンズです。いつもありがとうございます。

《訂正》

元々は乾板と古いタイプのロールフイルムフォルダの併用型だったようです。ワンタッチでピントグラスとホルダーを切り替えられるように610さんが改造しかけ、途中で改造を止めたものでした。4×5のType D 同様に、基本は木製のバック部です。


戻る