MAMIYA AutoDelux2 (マイナーチェンジ前)

 マミヤの35mmカメラが初期のものから進化し、非常に完成度が高くなった頃のオートデラックス、F1.7のちょっと半端な大口径レンズが何よりの特徴だ。この上に1.5のスーパーデラックスがある。まさに1960年代の車のようだ。出せない最高速とわずかな馬力差を売りにした時代。0-400mのコンマ何秒を競った時代。カメラも高度経済成長の例外ではなく、0.1でも明るい方が勝ちという風潮の中にあった。

 ツイッターで知り合った @SkyOne さんから頂いた「部品取りジャンクセット」に入っていたのだが、あまりにきれいなので、治せないかと検証した。

 オートデラックスはかつて2型(改良後)をレストアしていて、レンズ性能の良さを感じた機種だ。(このタイプとの違いは外観的には良くわからない。今回苦労したLVの連動部以外には、ビュッカーさんに拠れば、シャッターの変更と定点合致式露出計に変更されたのが2型ということだから、レンズは同一だろう)



 シャッターは動く、絞りもダイレクトに動かせば作動する。



 ちょっとプロンター的だが、実にしっかりと作られたコパルSVK



 問題はこのLVリング部。到着したときはこれがなかなか抜けずに困った。清掃給油の後に、今度は組めない。黄色矢印がLV変更を露出計に伝えるカップリング、赤矢印が抜け止めのEリング。このリングが引っかかり、作業を困難にしている。



 調速リング。組立にはこれを定位置に入れ、LVリングに付いたシャッター速度連動部と絞り連動部、それに件の露出計連動部を一度にあわせて入れなければならない。

 経験のある方ならわかることだが、二箇所合わせて入れるのはなかなか困難で、ちょっとしたショックで外れる調速リング+3箇所は超絶的に大変だ。ともあれ何とかしてしまった。おそらくメーカー的には簡単な方法があるのだろうが、私たちにマニュアルなど無いから、全て手探りである。失敗は数々あれど、上手く行ったときは一人きりで、「ざまあみろ、コン畜生!」と叫ぶ(笑)。レストアの醍醐味を感じる瞬間である。

 苦労して直ったとなるといてもたってもいられない。短いフイルムを巻き、速攻で街に出る。





《試写》

ARISTA Premium100にて







☆ピント、諧調とも一級品だ。数多のレンズの中でも「素晴らしい」といわれる一つだと思う。マミヤ・セコールの底力を感じている。もちろんこれは私個人の感覚だが、対象が浮き出すようにクリアーに出るレンズはそうそう多くない。

 前回の2型ではテスト撮影にプレストを使っていたが、今回はアリスタの100で、フイルムの違いが結果にはっきり出たと思う。フイルムの違いで描写が変るのは、レンズの性能の高さを示している。

☆ @SkyOne さん、ありがとうございました。愛用します。


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