KONICA 35 U (追加)

 コニカUを手に入れた。この機種については昨年12月に報告している。借り物だったが気に入ったので、外観ボロボロ、あちこち要整備である。しかし特に欠けた部品は無く、磨けばある程度は復活が期待できる。このくらいがレストアに最適というレベルかもしれない。



一見はそこそこきれいに見えるが、きれいなのは上部だけ。あちこち腐食しているし、ウラブタは変形、皮は浮き上がって、一部は脱落している。



この写真ではわかりにくいが、落としたのか左右に凹みがあり変形していた。従って、開閉が引っかかるので、裏側から木を当てて叩いた。皮のおかげでほとんどわからない程度になった。



ヘリコイドはがさがさ、シャッターは粘ると手入れされていない機体の御約束どおりなので、前側を分解



レンズ清掃、大きな傷は無く、カビが一部にあったのでオキシドールで洗浄した。ヘリコイドは分解すると面倒なので外から注油した



シャッターは羽根の開閉部(丸く囲った所)の動きが悪い。全体を超音波洗浄した後に注油だが、この部分は油をつけるわけには行かない。ここにつければ羽根に周り、直すつもりが悪化させてしまう。ボロン粉末をかけて単独で開閉を繰り返して、ストレス無く動くようにした。スローガバナーなどの動きは問題なく、洗浄後にもわずかの油分があるので給油せず。(この写真は清掃後に作動確認中で、羽根が閉まらずスタックしている所)



☆コンパータイプの故障しやすいポイントと対策は次のとおり。ただし、羽根の清掃は全てに優先する

 @スローガバナーの油切れ・ガバナーを外して給油し、取り付け位置を再調整(わずかのズレで狂う)
 Aセットリング周りの引っかかり・リング周りにごく薄く給油し、作動位置にきちんと組む(案外難しい)
 B通称オウムの嘴(丸の部分)の動きが悪い・バネの確認と溝などの清掃給油(バネは油で錆防止)
 C羽根を駆動するセクターリングの動作不良・錆を落とし、ボロン粉末、鉛筆の芯などでドライ潤滑
(シャッターユニットをベースから外し、羽根の清掃とセクターリング潤滑を同時に行うと良い)



ファインダーの清掃と、巻上げ部の給油を行う。この辺りの構造はコニカTとほぼ同じで、原始的だが材質が良く、特にハーフミラーの質が良いので(コニカ全般にミラーの質が良い)きれいになった。以後は皮の手入れと塗装、錆お年や磨きなどで持ち歩いても恥ずかしくないレベルになった。






今後の予定としては、ケースが無いのでアイレットを追加する。(実用するつもりなので私には必須だから)

《試写》

試写はアクロスにて







☆Hexanon 50mm 1:2.8 はヘキサノンの特徴を良く出している。輝度差が大きいものでもハイライトが跳ばず、暗いところが落ちすぎない。と言っても鈍いものではなく、きちんとピント感のある落ち着いた表現だ。コニカUはまだセルフコッキングではないが、一枚一枚をじっくり写すのには向いている。もちろん、巻上げとシャッターセット、予測距離に指標出合わせる準備を忘れなければ、動体もちゃんと写せる。経験則では、動くものを連写しても、使えるのはほとんどが最初の一枚で、残りは保険に過ぎないから。

ということで、このカメラは私のローテーションで使う常用機種となった。


June 2011


トップに戻る