日本ポラロイド HOLGA 120 FN 改造

《承前》

 前回の記事が原因かどうかは知らないが、このカメラを落として落として壊してしまったので困っていると言う投稿がつれづれ絵日記にあった。(No. 1615)

 「ヤフー知恵袋」に投稿したら、オモカメを直すところは無いとか、その価値が無いからあきらめろと言う意見だったようだ。

 ともかく様子を聞いたメールに添付されていた写真。



 思わず笑った。上が何も無い。自分でバラバラになったのを直そうとして上手く行かず、別にしておいた部品を捨ててしまったのだそうだ。まるで爆撃で艦橋を失った戦艦・・・

 まあこれだと、治す業者はまずない。全く同等の部品を単品で手に入れることは不可能だ。どうしてもなら「壊れていない新品または中古の一台」を犠牲にして部品取りするしかない。それでも頼めば新品や程度の良い中古が何台も変える価格、「一万円のカメラに10万円の修理費」という笑えない事になる。唯一の形見の品などでなければありえない。

 今回、幸運だったのは「ほぼ使える」部品代にも遠く及ばない捨値ホルガ120Sが私の手元にあったことである。前回一台仕入れた時に、その他の改造ベースとしてもう一台手に入れておいたのを流用すれば良いと考えた。これとて新品を犠牲にするのに変わりないが、価格的に部品と看做せるし、残りパーツは無駄にならないので、「部品実費1000円」で引き受けた(笑)

 この手は国産プラスチックレンズとフラッシュ内臓タイプである。この上にフラッシュ用の4色フィルターがついたものなどもある。



 形は同じだがこちらはフラッシュ組み込みの”高級”タイプ、軍艦部はそのままボルトオンだが、フラッシュは使えるように窓を開け、スイッチを工夫せねばならない。その他黒テープは光漏れ対策のようだがいかにも情け無いので、これも改良し、絞りとフイルム押さえを追加と言う定番改造も自分の経験値を増やすために計画した。

 

 シャッターはバルブが追加されているだけだった。バルブの出し方が私の改造とほぼ同じで、まあそんなものだろうと納得。絞りを追加して完了。

 

120Sのネームプレートを剥がすと、フラッシュのスペースがある。ここを切り開く



加工完了。古いストロボの前面アクリル板から切り出したものを嵌める。この工作が一番面倒だった。



フラッシュの電源スイッチは基盤直付けなので、それにエポキシでメスネジを貼り付け、外から押すネジを入れてスライドスイッチとした。位置が一発で出たのは奇跡か(笑)



ウラブタの赤窓からの漏れを止め、薄いアクリル板でフイルム押さえを作る。ついでに内部反射防止塗料も施して全て完了







ポップなデザインになった、、、かも知れない? この後のデザインはオーナーに任した。

《試写》

プレストにて









最後のカットは絞りを欲張ったので露出不足、他はしっかりしたものになった。一般的なホルガの作品と比較すれば、どこがトイカメかというものになった。仕上げがまともでないことを逆手に取って、トイ=玩具=変な写真を売りにしようとしたメーカーが間抜けなのであって、もともと潜在能力はちゃんとあるのだ。

作業完了後、もう一台補充しておいた。


August 2011


トップに戻る