MINOLTA Autocord

 オートコードはこれで3台目だ。二十代で買った一号、某プロから譲っていただいた 「ミドリダオートコード」そして今回のものである。作例



(左から・40年使っている愛機・今回レストア・ミドリダオートコード)

 オートコードは私が最も信頼し愛用してきた二眼レフで、私の二眼レフを見る基準は「オートコードとどう違うか」である。 レストアをするようになるまで、他の二眼レフを自分のものとして使ったことは無い。オートコードは私にとってそういうカメラだ。

 私のレストアリストにオートコードが入っていなかったのは、持っていないのではなく「ずっと使っているし、メンテナンスは ミノルタに頼んでいたから記録が無い」から。初代は何度も修理してもらいながら今も現役で頑張っている。この記事を書きなが らちょっとテストしたが、いつもの通り気持ちよく動いている。もちろん、清掃や頼まれ物などで内部の構造は承知している。 「ミドリだ」は前オーナーはプロなのでしっかり整備されているからメンテナンスの時期ではない。そんなわけで、レストア報告 には入っていなかった。



 スーパージャンクセット(笑)

 これらはSコレクションの廃棄品である。レンズが駄目・巻上げレバーが折れていて直せないなどで3個一した余りのジャンク パーツで、「時間が経っているので紛失ものもあるだろうが、おそらく一台分はパーツがある。捨てられないが使えないのでそのまま 保管している」ということだ。欲しいカメラではないが、このままにしておくのはいかにも惜しい。何度か見ているうちに何とかして みようといただいてきた。

 

 これが最大のポイント、折れたレバー。このままだと全くフォーカスできない。オートコードのこの部分はアルミの材質が弱く、 つまみが長いので衝撃で簡単に折れる。折れると外からはドライバーなどで押さないとフォーカスできない。狭くて薄いし代用品 やりペア部品は無いのでこれだけを理由にジャンクになっている個体があるようだ。



 折れたところに何か細工してつなぐわけだが、なかなか適当なものがない。見つけ出したのはおそらく絞りを動かすリングカム。 これをこのように組んでいらないところを切り落として接着と方針を立てた。



 基本の加工後。元の部品のわずかに残った部分を凹に加工して張り付ける部品をここに嵌めて回転時の左右のトルクを受ける 構造にした。位置決めは重ねて2ミリの穴を開け、ここにピンを入れる(アルミの材質がもろいのでタップは無理)



 ピンは短すぎて止めにくいので、重ねて半田を流し込んでピンにし、エポキシで接着。



 完成。テストでは何とか機能するのを確認。ヘリコイドを清掃して注油してほとんどスカスカになるように軽くしてこの怪しげな レバーに過大なトルクがかからないよう配慮した。



 前を受け持つパーツ。レンズやシャッターはここで組み付ける。



 レバーでフォーカス動作が出来るようになった。



 右側面のカウンター部。カウンターとセルフコッキングを司るが、部品点数が少なく動きが軽い良い構造だ。給油していれば 故障することはまず無い。左端のギアが巻き上げ用。上手く大ギアで接続してフイルムを上から下に巻く構造を実現している。 このおかげか、フイルムの平面性は安定していて、巻き上げ直後でもしばらく置いても問題ない。この点はローライに明らかに勝る システムだ。


 [パズル]、いろいろあるリング類はどれを使うのが正しいか、それをどう使うのかわからない。別機種のものも混じっている。 その他のリングとの組み合わせも不明。

 セルフコッキング用とその座金部の組み合わせを見つけるにはずいぶん時間がかかったが、まあ何とか組めた。(途中で嫌になって 放り出しそうになったが)



 皮を張るためにコピー機に乗せて紙に写す。



 型紙を切り出し、現物に当てて確認、皮に弱い糊で貼り付けて切り出す。これが一番確実で簡単な型取りだろう。



 リール押さえの皮が無くなっていたので、ポンチで皮の端切れから打ち抜く。



 皮の貼り付け前にしっかり清掃。薄い皮なのでこの作業を怠るときれいにならない。手抜きは不可だ。








☆オートコードはこの後続けて3台組んだ。それらの報告はこちらから順次見られる。

《試写》

 レンズ座金が怪しいのでピントグラスで見たらほぼ合っていた。そのまま勢いでプレストを入れて試写してみた。







☆ミノルタオートコードは私の標準二眼レフ、75ミリを使う時には何も不足は無い。確実な動作としっかりした結果が 出る。これを基準に他の二眼レフを見ているが、違いや個性を感じたことはあれど、これを上回ると感じたものは無い。私にとっては そういう二眼レフである。


  ☆Sさん、何とか組めました使えます。ありがとうございました。




 残ったパーツ。外装や巻上げ関係は形だけ組み付けて保管。いつでもスペアになる。

October 2012

トップに戻る