MINOLTA Autocord 1 (ジャンクスペシャル・笑)




 続けてオートコード1型を三台目の報告と言うことになる。前回報告のhigemajinさんからの依頼品 の残骸と、その前のジャンク二個一の残骸から「何とか使える一台」を組んで 見ようという無茶な企画だ。当然ながら形式は「T型もどき」ということになる。

 無茶と言う理由は下記の通り。

@本体は一つが左サイドが完全に固着していて、露出計付ボディーを使わねばならないが、巻き上げリンクが故障していて 巻き上げ・チャージ不能の重故障。
A露出計付は露出計が壊れていて外観も悪いので外してノーマルタイプに変更せねばならない。
B露出計付はフイルムカウンターが127用しかなく、120に組み替えが必要。
Cどちらもフォーカスリングのレバーが折れている。
Dどちらもファインダー周りが痛んでいる。片方は欠品部分あり。
E後玉がバルサム切れで、中心部まで完全に汚れ、透明ではなくて歪みが出る。そのままではまともな画像が得られない。

 シャッターがそれぞれシチズンとセイコーでリンクが異なる上に、オリジナル状態がいじりまくられていて不明だから、 構造を想像してカットアンドトライで調べねばならないが、これが難しい。

 カウンター周りの正常状態はわかるからこれは 観察と工夫で何とかなるだろうと挑戦してみた。トドメのバルサム切れはひそかに考えていた方法を試してみよう、駄目なら 一時的にほぼ同等のミノルタフレックスから借りるのもありと言うことにした。

  《ツイッターで呟いた実況報告・リプライなどは割愛》


*Autocord1型のシチズンとセイコーシャッターは、チャージ位置や方向が異なる。しかし、同一のダイキャストで 取り付け位置は同じで機能の異なるパーツで対応している。手間は掛かるが、初期・1型内なら露出計付・無しも 含めてチャージパーツもカウンター周りも完全に組み替えられると判明。

*「なぜ撮るのか」 仕事でなかったら写したいからだろ、愚問の代表だよね。

*仕事が早あがりできそうなので、連絡が来ないうちに帰宅する。

*今宵も機械カメラを直す。ルーチンではなく楽しいから。

*巻き上げロックしてしたジャンクのオートコード、やっと理由判明。「間違ったネジが使われていて突き出したネジで ロックしてしまう」。こんな奥の、トルクを伝えるだけで故障はまずありえないギアを固定するネジを、誰がなぜ外したか、 謎は尽きない。間違いないのは「いじり壊した」という事実のみ。

*巻き上げ、シャッター関係復活。カメラの基本機能は何とかなった。外装をきちんとすればそれなりに見られるレベルに なるだろう。試写しなければ結論は言えないが、ちょっと達成感あり。寝よう。

*ジャンク再生のための実験成功・・・したかもしれない。明日まで待って安定したら万歳三唱しよう。

*人気機種については、分解整備部分を抽象的にし、できるだけ割愛すべきかもしれませんね。 #転売屋対策

*オートコードの激しいジャンクで部品取りとしていたものを、気を取り直してレストアしている。シャッターメーカー違いの リンク関係総入れ替え、カウンター組み換えなど。久しぶりに、挫折・再開・挫折・復活と勉強になった。昔このくらい真剣に 取り組んだら、今頃はどこかの大学の名誉教授か(笑

*激しく同感!「触っていない」「写していない」のに書くのは詐欺ですね。

*さて、午後は「スーパーウルトラネガティブジャンク・オートコード元セレン露出計付現在露出計無し1型もどきみたいな!」 のテスト撮影に出かけよう。写っていたら太平洋に向かって「バカヤロー、これが青春だ〜〜」と叫ぼう。

*リベンジマッチより帰還。太平洋ではなく、せっかくすっきり出ていたので富士山に向かって「コンチクショ〜〜やったぜ!」 と叫んで見た。答えは無かったが。速攻で現像、一先ず写っていると確認。少なくとも写ればカメラだから勝った(笑)

*My Mission has been completed. I've done it!






 カウンターダイアル部。全く構造が異なるが、組み替えればそれぞれ作動する。もちろんここだけではなく、その他 いろいろ変更と調整が必要。



 左サイドカバーは完全に互換性あり。



 仮に位置と作動を見る。作動しそうだ。



 故障した巻き上げリンク。シチズン用とこのセイコー用は主にこの部分で機種対応している。まさかネジの突き出しでレバー の動きを阻害しているとは思わなかった。これは絶対に誰かがいじり壊した(間違えて組んだ)と判明。ネジを短縮したり 給油したりで、単独では作動するようになった。



巻上げ部裏側。回転方向でシャッターをチャージした後、リリースするカム。



 仮組み。カバー無しなら正常動作するが、カバーを掛けると異常になる。これはサイドカバーの変形で内部のギアなどの 動きを妨げると言う現象。狭いところに平面的にカウンターなどを押し込む二眼レフ特有の症状。カバーの変形を直し、 一部を削って正常動作になった。(簡単に書いたが、一度挫折しそうになった。)



目処がついた。




 前面の張皮と、左右のコピーを記録した。これを型紙にすると皮を切り出しやすい。












 バルギレ処置後一週間、次第に改善し、バルギレは問題なくなった。光らせても前玉の傷が見えるだけ。成功!

《試写》

 一度撮影に出たら、カウンターが動作せず、もう一度開いて調整して即プレストで写して見た。







 順光ではきちんとロッコールらしい切れ味が出た。逆光ではわざとハレ切りしなかったら画面外からの光でゴーストが出る。 右側の光漏れはウラブタ周りからで、これは対策済み。フード利用でほとんど問題が出ないだろう。

☆達成感あり。一台救い出せた。作業の中でバルサム切れについて処置したが、これは内容を一切発表しない。理由は転売屋の 存在による。この件については別途「転売屋」という記事をTipsに書いてあるので、 興味ある方はリンクよりごらんいただきたい。


  ☆higemajinさん、応援ありがとうございます。


December 2012

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