. Camera Restore

本当のジャンク・ミノルタオートコード





 先日、見るからにぼろぼろのオートコードが到着した。仲間のある人がオークションで手に入れ、整備依頼されたものだ。


 右側面。下半分は見覚えあるものだが、上側はカウンター部が異なる。リンクなどが多いのはカウンター切り替えの ためだろう。それにしても、白い粉(腐食による酸化アルミニウム・アルミナ)はあるし左上のネジはどうやっても緩まず、 ついにドリルで外すというひどさで、いったいどこに保管していたのか。


 タイプは1型でセレン露出計が組み込まれ、120フイルムの12枚撮りと、127フイルムの18枚撮りが使い分けられる。 (部品が揃っていて機能が正常なら)


 オートコードの巻上げは上から下になる。矢印のギアは内側にフイルムリールが中から装着される。そのためか、軸は明確に 固定されていない。この中心をスプリングと画鋲のような部品で押して固定している。その力はカバーに押し付けられて得ている。 分解する時に簡単に外れるから落としやすく、気がつかない場合もありうる。ちょっと困った構造だ。



 左側。露出計は簡単に外れたが、配線は2本とも取れていた。明らかに誰かが分解したが、直らないのでそのまま閉めたのだ。



 露出計は抵抗がシリーズになったタイプで、一応導通するが針は動かない。揺すれば動くから異物混入ではない。コイルのレア ショートか。いずれにせよカバーが破損しているし直せるものではない。



 前周りを分解。予想通りネジがゆるゆるで誰かが分解した痕あり。シンクロコードは外れていた。シャッターや絞りは一応動いて いた。フォーカシングレバーはお約束どおり折れている。



 露出計以外を修復して使えるレベルにしようと作業開始。まずは折れたフォーカシングレバーを加工し、ノブになる代替部品を 作ってエポキシで接着した。



 ノブの厚みが増すので、干渉する部分を削った。ここは力がかからないし、組み立てれば見えないから良いだろう。



 露出計のセレンががたつくので分解してみた。しっかりネジが緩んでいた。セレンは起電力がほとんど無い。



 ここで決定的な瑕疵を発見。後ろ玉がアウトだ。張り合わせ面がひどく痛んでいる。いわゆるバルサム切れだ。周辺だけでなく 中心に達しているから、間違いなく画像に影響する。フレアだけでなく、ピントも怪しくなるレベルだ。

☆ここで一先ず連絡し、レストアをあきらめたが、後のレンズだけ使えるジャンクはありうるので、一先ずはレンズと露出計以外は 整備しておこうと気を取り直した。



 ファインダーフードの後半分が無く、怪しげな+ネジで止められていた。全く恐れ入るほどのジャンクだ。



 これでもミラーは清掃後だ。



 手持ちのノーマル1型のボディー(右)を使おうかと思ったが、ノーマルのシチズンシャッターとこのボディーのセイコーシャでは シャッターチャージの方向や位置が違い(矢印がそれぞれのシャッターチャージリンク)流用できない。

 リンクからギアまでそっくり入れ替えれば使える可能性はあるが、後玉が駄目だからリスクのある作業はパスした。



 よく見たら、添付されていたカウンターは127専用の18枚撮りのもの。120用は添付されていない。しかも44用のマスクも フイルム軸のアダプターも無い。これで120で写せば、完全にダブってしまう。



 左側は全く同じで、カバーに穴を開け、カバー固定のネジで露出計を固定している。おそらくボディーのダイカストも共通 だろう。露出計無しのタイプにも露出計の固定部や配線通路があるから間違いない。



今回は出番が無くなった型紙(露出計無し用)。一部はうまく剥がれたものを使っているから正確だろう。現物合わせより はるかに作業が楽になる。

☆作業はここまで。いつでも組める状態でサスペンドした。この記事は備忘録なり。こんなひどいジャンクを平気で オークションに出す奴の神経は壊れている。恥を知れ!

(出品者の本名や住所はわかっているが、私は第三者なので、ここに曝すのは控える)


***********「おそらく後編に続く」************

☆追記・この件についてわかりやすくまとめているサイトあり。リンクフリーなので参照・拡散願いたい。
  November 2012


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