ZEISS Suoer Nettel

 スーパーネッテルは前回報告のコンタックスと一緒に借りていた。レンズはコンタックス用の50oとほぼ同じ テッサーで、シャッターは改良されたコンタックス用と同様なので、レンズ交換あり、無しで使いやすさなどがどうなのかを知りたかった。



 35oフォールディングカメラということは、コダックのレチナシリーズが有名だが、あちらはレンズシャッター、こちらはフォーカル プレーンである。経年変化を考慮すれば、レンズシャッターの方が扱いやすい。ほとんどが整備すれば部品交換無しで使える。

 ただし、シャッター幕交換などのメンテナンスがされていれば、高速はフォーカルプレーンが勝り、フラッシュのシンクロを 考慮するとレンズシャッターが勝る。もちろん実用では形式に意味は無く、整備状態が違いになる。

 上は1/1000秒、低速はガバナーが無いので1/10秒までのシャッターを搭載している。1/10秒でも手持ちで写せる速度ではない。 手持ちスナップで使う事を前提とすると必要十分だ。シンクロ接点は付いていない。


このカメラが作られた時代にはキセノン発光管式フラッシュは存在せず(1930年代に開発されたが 普及は戦後)、人工光が必要な時はマグネシウムポン焚き=オープンフラッシュ(シャッターを開けてから手動で点火する手法)が、 後にはフラッシュバルブ(ジルコン・アルミニウムなどのリボンを酸素入りガラス管に封入して電池で燃やす一発使い捨てのランプ) で撮影する方法が一般的。

 多くのクラシックカメラにはX接点(シャッター全開時に点火する接点)が存在しないので、一見シンクロするように見えるレンズシャッター カメラのほとんどは、完全に開く前に発光してしまうM接点である。マグネシウムなどは点火してから最大光量になるのに時間が必要 なので、球の特性に合わせてシャッター側の点火タイミングを早めているのだ。よってレンズが開いてゆくどの時点で発光するかテストし それに合わせた補正データを持たないと使えない。応急にはオープンフラッシュするしかない。ただし、被写体ブレは多かれ少なかれ 付きまとう。つまり、この時代のカメラをフラッシュ関連で評価するのは見当違いなのだ。

ストロボという用語は開発したストロボリサーチ社の製品名なので、キセノンフラッシュをストロボ と呼ぶのは誤用。





 ツァイスの蛇腹周りは総じて造りが良い。可動部のがたなどほとんど無く、蛇腹に穴が開いたものを経験していない。造りだけでなく、 材質が良いからだ。扱いが良かった物はみっともない外観など無縁。残念ながらこれらの点では国産とは格が違うと認めざるを得ない。



ツアイスの距離計なので、ドレーカイル式が付いている。距離計連動のフォーカルプレーン機としてはコンパクトで、これで レンズ交換ができれば面白いかなと思う。35oレンズだけでも装着可能なら最高なのだが。(それならコンタックスに するのが筋・笑)



 前玉回転とドレーカイルのプリズム回転を連動させる巧妙な仕組み。距離計は内部のプリズムにもかかわらず良く見える一級品だ。 ただし、絞りの設定も回ってしまうので絞りは使いにくい。この状態でテイクレンズを左に廻すと前玉アセンブリーが外れ、簡単に 清掃できる。



 レンズボードはスムーズに平行移動し、開いたらびくともしない剛性感がある。



 巻上げダイアルはごく一般的な位置にあり、その根元がシャッター速度の変更を兼ねる。横の小さなボタンはスプロケット の解除用で、巻き戻し時にはこれを押す。フイルムカウンターは自動リセットではない順算式。



 裏ブタは取り外し式で、巻上げスプールも外れ、専用マガジンが使える点はコンタックスと全く同様。



 ツアイスお得意の鎧戸式縦走りシャッター

《試写》

 DNP200のネガカラーにて。モノクロは後日「つれづれ絵日記」に掲載する







三枚目は絞り開放ショット。予想通りというか、期待以上に良い結果だった。本家テッサーの魅力を感じる。開放でもしっかりと 描写し、色付けが無いのですっきりしている。ネガカラーできちんと記録できる。ノンコートの素直さだろうか。

☆50o専用で使う限り、兄貴分のコンタックスより全ての点で勝る。軽く操作性が良く、ピント合わせが見やすいしいちいち無限遠で 止まったりしない。フォールディングの開閉がスムーズで、持ち運び性は非常に良い。一級品のファミリーカメラと言える。特別な 撮影を意図しない限り今も十分現役として使えるカメラだ。


−−−−−−−−I've done it. It's usefl. Thanks a Lot. > Mr. S−−−−−−−−−−


May 2013

トップに戻る