CANON CANONET QL17GV(再)
ジャンク6台シリーズ六番手、キヤノネットのGV。このシリーズのほぼ最終型で、小型化と軽量化、合理化で人気がある。
ケース、キャップと揃っていて、汚い以外はどこにも問題ない。清掃しただけで普通に使える。レストア趣味としては物足りない
が、実力評価には理想的か。一度報告している。
清掃のために開く。ネジ3本と巻上げ・巻き戻しノブを外すだけで簡単に分解でき、ホットシューの配線がつながるなど
の野暮ったさは無い。良く考えられた構造だ。
ファインダーを掃除したが、ハーフミラーが痛んでいて視界が完璧ではない。距離合わせと画角確認はできるのでハーフミラー
交換は避けた。論理的には簡単だが、調整と固定が面倒なのだ。
ごく標準的な構造だが、それぞれのパーツが進化して小型化している。一つ一つの積み重ねで小型化した事がわかる。大きかった
露出計は小さくなり、縦置きで距離計と組み合わされた。
初代から見るとずいぶん小さい。コンパクトカメラというサイズだが、時代的傾向にぴったり合っている。小型ボディー
に大口径(F1.7)40oレンズという方向は、一眼レフが普及し距離計機はスナップやサブに廻った事を感じる。
Cdsなので電池は必要。旧タイプなのでLR44を使うならスペーサーが必要だ。
QL = Quick Loading のメカニズム。この頃からフイルム装填は位置に乗せるだけで済むようになる。この機構は上下で挟み、
確実に巻き取る大げさな装置だったが、次第にスマートになり、自動巻上げのカメラでは小さな突起一つで簡単に実現するように
なった。パーフォレーションを引っ掛けて一回転すれば確実にロックできて、以後は軽く巻上げ方向にテンションを与える。
巻き戻しではスムーズに外れるから大げさな装置が不要になった。この方法は非常にシンプルで確実、軽量化にも役立つ
目立たないが、電動巻上げに伴う大事な進化だ。
《試写》
いつものアクロスにて
遠景も近景も確実にこなす。多少の軟調で、ネガカラーの広いラティテュードに対応していると言えよう。焼き易いネガが
得られる。わずかにフレアっぽいが、ピントはきちんとしている。素直なレンズで絞るとピントがはっきり向上する。
☆キヤノネットシリーズの最後にして最も完成された形だ。全てにわたって平均的できちんと仕事をする。まさにキヤノンの
カメラと感じた。使いやすく誰にも受け入れられた事が納得の一台だ。
☆性能も使いやすさも全く問題なく、この時代のカメラとしては最高の部類だ。ただし、あまり愛着を感じない。卒が無さ過ぎる。
優等生過ぎると言うこと。ユーザーをそそる何か、欠点かもしれないかもしれないが、これでなくてはという気にさせるものを
感じない。新しいものほど高性能で、よりよい結果を生むデジタルカメラに感じるのと同じ匂いがする。
July 2013